界面の光励起プロセスを利用した人工光合成システムの研究開発
【研究キーワード】
光触媒 / 半導体 / 可視光 / 界面電荷移動 / 人工光合成 / 界面 / 励起
【研究成果の概要】
ナノクラスター/半導体複合体における界面電荷移動遷移(Interfacial Charge Transfer: IFCT)を用い、可視光応答光触媒を開発する。IFCTとして、半導体価電子帯からクラスターへの遷移(Band to Oxidant Charge Transfer: BOCT)と、クラスターから半導体の伝導帯への遷移(Reductant to Band Charge Transfer: RBCT)が知られる。本研究では、SrTiO3基板上にパルスレーザー堆積法とフォトリソグラフィー法によって成膜したCr2O3のパターン膜において、RBCT遷移が起こることをケルビンプローブ顕微鏡で明らかにし、さらにRBCT遷移で励起した電子と正孔の反応サイトについて、光触媒反応による粒子析出を原子間力顕微鏡で追跡することで明らかにした。具体的には、Cr2O3/SrTiO3のパターン化膜を水溶液に浸漬し励起光照射下のもと、酸化反応はマンガンイオンから酸化マンガンの析出、還元反応は金イオンから金を析出させ、酸化マンガンや金の析出する場所によって酸化サイトと還元サイトを特定した。この結果、活性サイトはいずれもパターン膜の界面(エッジ)の部分で、酸化マンガンはCr2O3側へ、金はSrTiO3に析出したことから、前者が酸化サイト、後者が還元サイトであった。すなわち、Cr2O3からSrTiO3にRBCT遷移することによって、前者に正孔が、後者に電子が生成することが示唆された。また、粒子析出の範囲がパターン膜エッジから数十ナノメートルであることから、電子と正孔の拡散距離も明らかにすることができた。プローブ顕微鏡技術と良く定義されたパターン化膜をもとに、異種半導体間での電荷移動を可視化することに成功した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)