新技術・レーザ励起フェライトメッキによるマイクロ波・ミリ波集積素子の試作
【研究分野】電子・電気材料工学
【研究キーワード】
マイクロ波 / ミリ波 / フェライト薄膜 / フェライトメッキ / MnZnフェライト / NiZnフェライト / 誘電損失 / フェライト / メッキ / 誘電率 / 透磁率
【研究成果の概要】
本研究の目的は、我々が独自に開発したフェライトメッキ法が有する(1)低温(100℃以下)プロセスであること、(2)レーザ照射およびスキャンにより、高堆積温度でフェライト膜のパターンを選択堆積できること、を利用してフェライト薄膜非相反素子をも集積したマイクロ波・ミリ波素子の試作を行うことにあった。しかしフェライトメッキ膜がマイクロ波帯で誘電損失が大きいことが判明したので、その対策として、NiおよびMnを多量に含むスピネル型のNiZnおよびMnZnフェライト、さらに六方晶型のBaフェライト膜のメッキ法を探査した。すなわち、金属イオンをキレート化して沈澱を抑えた高pH反応水溶液を用いたキレート化フェライトメッキ法を用いて、スピネルメッキ膜中のNi,Mnの固溶限界を増大させるとともに、Baフェライト膜を作製することができた。さらに、得られたNiZnフェライト膜を真空処理することにより、磁気特性を損なわずにマイクロ波誘電特性を大幅に改善し得ることを見出した。従来行われていた熱処理によっても誘電特性を改善することができたが、これによれば磁気特性が劣化(飽和磁化の減少、抗磁力の増大、強磁性共鳴半値幅の増大)したという欠点が本方法によって克服された。残念ながら集積素子を作製するには到らなかったが、マイクロ波・ミリ波用フェライト非相反回路素子用材料としてのフェライト薄膜を作製する指針が得られたので、本研究の成果により、フェライトメッキ膜を用いたマイクロ波・ミリ波集積素子作製への可能性が明らかにされた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
乾 哲司 | 日本電気(株) | 資源環境技術研究所 | 主管研究員 |
川又 肇 | 松下電子部品(株) | 電子部品研究所 | 室長 |
伊藤 友幸 | セイコーエプソン(株) | アクティブデバイス研究室 | 主任 | (Kakenデータベース) |
五味 学 | 北陸先端科学技術大学院大学 | 材料科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
玉浦 裕 | 東京工業大学 | 炭素循環素材研究センター | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】試験研究(B)
【研究期間】1993 - 1995
【配分額】22,400千円 (直接経費: 22,400千円)