組換え天疱瘡抗原蛋白を用いたELISA法による病勢モニタリング法の開発
【研究分野】皮膚科学
【研究キーワード】
自己免疫性疾患 / 天疱瘡 / ELISA / 診断薬 / 病勢モニタリング / カドヘリン / デスモグレイン / 細胞接着
【研究成果の概要】
本研究の目的は、我々の開発したELISAにより得られる抗体価(ELISAスコア)と病勢との相関関係を検討し、ELISAスコアが病勢をモニターする指標となりうるかを検討することである。平成9年度には、組換え蛋白(rDsg3,rDsg1)を抗原としたELISA法を実際の日常診療で使用可能である実用性の高いものとした。陽性および陰性コントロールを用いてELISAスコア(Index値)を以下の如く簡便に計算出来るようにした。Index値=(患者血清のODー陰性コントロールのOD)/(標準血清のODー陰性コントロールのOD)X100。Index値が、20以上を確実陽性、10-20をグレーゾーン、10以下を陰性とする判定基準を設けた。さらに血清学的診断基準を決定した。すなわち、Dsg3陽性であれば、Dsg1の反応性に関わらず、診断はPVであり、Dsg1陽性であり、Dsg3陰性であれば、診断はPFである。平成10年度には、選出された症例の血清をELISA法にて抗体価を測定し、病勢と相関関係を検討した。PV,PFともに、Dsg3,Dsg1を抗原としたELISA法にて得られる抗体価は、病勢と強い相関性を示し、本ELISA法が病勢のモニタリングとして使用できることが結論された。さらに、Dsg3とDsg1の種々の領域を含むキメラ蛋白をバキュロウイルス発現系にて作製した。それらのキメラ蛋白との競合ELISAを施行したところ、Dsg1、Dsg3ともN末1/3の領域に主要エピトープが存在することを示した。また、少数例においては、細胞外領域中央部1/3の領域にエピトープを有する症例が認められた。これは、天疱瘡抗原における3次元エピトープを初めて明らかにしたことになる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
西川 武二 | 慶應義塾大学 | 医学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1997 - 1998
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)