高分子金属錯体系に折出する金属超微粒子の分散・形状制御と光デバイス機能材料の開発
【研究分野】複合材料・物性
【研究キーワード】
ポリイミド / 金属微粒子 / 光学的性質 / 偏光特性 / X線分析 / 一軸延伸 / 複屈折 / フッ素化高分子 / (1)ポリイミド / (2)金属微粒子 / (3)光学的性質 / (4)偏光特性 / (5)X線分析 / (6)一軸延伸 / (7)銀化合物 / (8)フッ素化高分子 / 銀化合物
【研究成果の概要】
フッ素化ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液に、銀塩または銀の有機錯体を溶解させ、それをフィルムをした後、室温〜350℃で一軸延伸するという新しい方法で、異方的な形状(長径100〜300nm、短径10〜30nm)を持った銀の超微粒子をポリイミド中に折出させることに成功した。使用する銀化合物として硝酸銀、酢酸銀、銀アセチルアセトナート錯体等を検討し、またポリイミドとして各種剛直棒状ポリイミドを検討した結果、硝酸銀/PMDA-TFDBポリイミドの組み合わせが最も高い消光比を示すことが明らかとなった。そこで熱処理の雰囲気、最高熱処理温度とその温度での保持時間、延伸に用いる加重、硝酸銀の濃度等のパラメータを個別に変化させて作製条件の最適化を行った。その結果、厚さ14.8μmのフィルムにおいて、波長850nmにおける光損失1db以下、消光比320(25db)以上が達成された。これを石英系光導波路に対して垂直方向に切った幅18μmの溝を挿入したところ、光導波路用偏光子として十分に機能することが明らかとなった。一方、ポリイミドファラデー光学材料の検討として、まず金、銀、パラジウム、銅、アルミニウムを導入して超微粒子を折出させる方法を確立し、それらの近赤外波長における光透過性、屈折率、複屈折性を検討した。金属の微粒子折出にともなう屈折率と複屈折の上昇が観察され、それらは理論計算からの予測と一致した。次いで、ニッケル、コバルト、鉄の各有機錯体をポリアミド酸溶液に溶解させ、それをフィルムにした後、窒素雰囲気中約350〜400℃で熱処理して金属性微粒子が析出したポリイミドフィルムを得た。コバルトヘキサフルオロアセチルアセトナートを高濃度にドープしたフィルムにおいてファラデー効果(外部磁場の印可による入射偏光面の回転)が観察された。
【研究代表者】