ヘルメットの頭部保護性能とその評価法に関する研究
【研究分野】機械材料・材料力学
【研究キーワード】
ヘルメット / 頭部保護性能 / 衝撃 / 有限要素法 / コンピュータ・シミュレーション / 落下衝撃試験 / HIC / 評価 / スポーツ・サーフェス / 衝撃吸収 / 落錘試験 / 力学特性 / 官能評価 / 感性工学 / 頭部保護
【研究成果の概要】
まず乗車用ヘルメットの安全性を規定している日本工業規格(JlS)および衝撃カをうける頭部耐性曲線(WSTC)を参考にしながら、現在までに提案されている頭部耐性に対する評価指標を調査した。
それらの内から有力と思われる指標について、様々な衡撃力波形を創成し、それらを入力加速度波形として演算を行い取り上げた指標が持つ特性について調査した。その結果、自動車の安全基準などに使用されているHlC(Head Injury Cniterion)指標が、衝撃波形の特徴をよく代表しており、安全基準に使用すべき指標として最も有力であることが明らかになった。
そこで、市販されている乗車用ヘルメットから、代表的なモデルを取り上げ、このヘルメットのシェル形状と落下試験に用いるヘッド・フオーム形状をそれぞれ計測し、これらの三次元形状データからシェルとライナーで構成されるヘルメットおよびヘッド・フォームの三次元有限要素デルを作成した。そして、シェルとライナーについては、衝撃試験結果に基づき、これらが線形弾性応答を示す範囲内の材料特性を求め、これを材料特性として用いた。
これらのモデルを用いて、ヘッド・フォームにヘルメットを装着させ、二種類の剛体としたアンビル上に落下させるシミュレーションを行った。シミュレーションでf得られたヘッド・フオームの加速度応答に基づき、HlCなどの指標を計算することにより対象ヘルメットの頭部保護性能の評価を行っと。以上による本研究の成果をまとめると、次のようになる。
1)JlSで定められたヘルメットの落下衝撃試験をシミュレーションできる実際のヘルメットに基づいた三次元有限要素法モデルの作成に成功した。
2)材料特性が線形弾性の範囲内に限定されるが、実験とシミュレーションによるヘッド・フォーム内の加速度応答波形ならびにこれらから求められる頭部保護性能評価指標は、ともに良好な一致をみた。
3)落下サーフェスに関しては、半球形の場合の方が平形の場合よりも応答加速度および評価指標ともに小さくなった。この原因としては、半球形のアンビルに対する衡突では、応力の集中により変形が大きくなり、その結果として応答加速度が、小さくなったと思われる。しかし、、これはヘルメットに損傷がない範囲内における現象で、ヘルメットのシェルあるいはライナーに不可逆的な損傷が生じる場合は、破壊とその破懐による頭部保護性能について、別途評価する必要がある。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
伊能 教夫 | 東京工業大学 | 大学院・情報理工学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1997 - 1999
【配分額】10,900千円 (直接経費: 10,900千円)