電気二重層トランジスタを用いた新しいコンセプトの熱電変換素子の作製
【研究キーワード】
トランスバース型熱電素子 / 電気二重層トランジスタ / カーボンナノチューブ / 熱電変換素子 / ambipolarトランジスタ / 熱電変換 / 電気二重層コンデンサ / イオン液体
【研究成果の概要】
本研究の目的は、電気二重層トランジスタ(EDLT)の手法を用いて、新しいコンセプトの熱電変換素子を作製することである。
トランスバース型熱電変換素子は、p型とn型の熱電材料を直列に接合し、接合部にヒートガイドを付けることで縦方向の温度差を横方向に変換する構造となっており、薄膜や、素子の微細加工に適している。単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は、100nm程度のシートなので、このような素子構造で集積させることによって実用的な電力を取り出せると考えられる。近年、電解液を用いてambipolarトランジスタ構造を作製する方法が報告された。本年度は、SWCNTを用いてトランスバース型熱電素子を作製するために、直線状のSWCNTシートに正極と負極を交互に付け、ゲート電極との間に電圧を印加することによって直列のp-n接合を作製することに試みた。まず、熱電特性の評価を行うとともに、p-n接合を作製するための条件を最適化するために、1対のp-n接合を作製した。SWCNTシートの両端にSourceとDrain端子を付け、シートの中央に熱を流し込むための電極とヒーターを取り付けた。熱流は、中央の端子からSourceとDrain端子に向けて流れる。2つの熱電対で中央の端子とSource, Drain両端子間の温度を測定し、その熱起電力を観測したところ、SourceとDrain端子に逆電圧を加えた時に、正と負の熱起電力を示した。このことから、p-n接合が作製できたことがわかる。その起電力は、キャリア濃度の勾配により小さくなっているが、SWCNTの熱起電力から予測される、キャリア濃度の勾配を考慮した理論計算から求めた熱起電力とよく一致していることが分かった。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)