適応能としての二足歩行運動
【研究分野】人類学(含生理人類学)
【研究キーワード】
二足歩行 / 進化 / ヒト / 霊長類 / 個体発達 / 加齢 / 運動機能 / バイオメカニクス
【研究成果の概要】
本年度の研究成果は以下の通りである。木村(賛)は霊長類四肢骨格の形態を計測し、ロコモーションパタンとくに前後肢機能分化との関連を調べ、ヒト二足歩行の特徴を検討した。足立は高齢者階段歩行時の体節角度とタイミングを解析し、加齢変化を描出した。石田は中新世類人猿ナチョラピテクスの膝蓋骨の三次元形態解析を行い、類人猿ロコモーションの進化について考察した。木村(忠)は二足歩行に関係する前脛骨筋の筋線維構成と横断面積の加齢変化を調べ、.白筋線維の変形と萎縮が高齢者で顕著であることを見いだした。熊倉は首の安定に関係するサル胸鎖乳突筋の筋線維数と筋紡錘数の調査およびヒト歩行時の同筋筋電図結果から、同筋の機能を考察した。高橋は現代人骨119体の骨盤において線計測および三次元計測を行い、性差の点検を行った。西澤はフットクリアランス、体節角度など多数の因子による主成分分析から高齢者歩行の特徴を抽出した。濱田はとくに野外観察により、真猿類と類人猿の四足歩行を解析した。松村はチンパンジーとヒトの大腿骨全長にわたるCT断面計測による比較を行い、化石人骨との考察を行った。山崎は二足歩行時の三次元神経筋骨格モデルを用いて、背柱腰部前弯が自在継ぎ手として意味をもつことを示した。
2001年12月15日〜16日の2日にわたり全員の出席のもとに班会議を開き、研究成果の発表と討論を行い、統合化をはかった。二足歩行研究への霊長類モデルの有効性が確認された。また、近年の高齢化社会の進展に対して、二足歩行からみた加齢過程を提示しえた。これに基づき一足歩行の進化と老化についての大部の報告書を作成して成果を公表する。
【研究代表者】