ジャワ島における原人の到来・進化・絶滅のプロセスを解明する形態進化学的研究
【研究分野】人類学
【研究キーワード】
人類進化 / 原人 / 新人 / ジャワ / 化石 / 発掘 / CT解析 / 出アフリカ / ジヤワ / 古人類学 / 人類化石 / ホモ・エレクトス / インドネシア / CT / サンブンマチャン
【研究成果の概要】
「ジャワ原人の到来」に関しては、化石の豊富な下顎骨と歯標本について形態学的解析を行った。これまでサンギラン地域などから出土している最古のジャワ原人化石の進化的位置づけについて、猿人相当から北京原人と同列というものまで、専門化の見解が別れていたが、既存化石を網羅的に研究した例がなかったことが、混乱の原因となっていた。そこで我々は、最新の年代情報を加味し、既存化石の大半を系統的に分析した。その結果、両仮説の中間、つまり最古のジャワ原人はケニアなどから知られているアフリカの初期原人に最も近いことが示された。同時に、これまで前期更新世のジャワ原人として一括して扱われることの多かったサンギラン出土の化石群が、実際には年代的に異なる2群に分けられることも示された。
「進化・絶滅」については、化石標本が充実している頭骨に焦点を絞って進めた。ジャワ島からは、更新世の様々な時代のジャワ原人化石が多数発見されているが、従来の研究では、小数標本に基づくか、計測者間誤差の大きい異なる研究者の報告した計測データを集めて解析が行われており、網羅性・データの統一性に問題があった。今回我々は、既存のジャワ原人頭骨化石の大部分を調査する機会を得、自ら全ての化石を計測することにより、統一性のある詳細な計測データセットを構築することができた。その解析の結果、サンギラン・トリニール等の"前期"とガンドン出土の"後期"のジャワ原人頭骨化石の間に、これまで認識されていた以上に様々な違いがあることが示され、さらにサンブンマチャン出土の3点の化石は、おおむね両者の中間的形態を示すことが確認された。これはジャワ原人の系統的連続性を示唆し、さらにガンドンに見られる特殊な形態は、ジャワ原人と現代人(ホモ・サピエンス)との進化的不連続性を示唆していると解釈できる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
海部 陽介 | 独立行政法人国立科学博物館 | 人類研究部 | 研究員 | (Kakenデータベース) |
河野 礼子 | 独立行政法人国立科学博物館 | 人類研究部 | 研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2003 - 2006
【配分額】25,480千円 (直接経費: 19,600千円、間接経費: 5,880千円)