エジプト西方デルタ コーム・アル=ディバーゥ遺跡の考古学調査
【研究分野】考古学
【研究キーワード】
エジプト / 西方デルタ / コーム・アル=ディバーゥ遺跡 / 地中海 / 移動ネットワーク / イドゥク湖 / 砂丘集落 / 生活文化 / 複合経済 / 地中海~紅海 / 海洋・内陸ネットワーク / エジプト西方デルタ / 比較研究 / 海洋と内陸 / ネットワーク / 地中海と紅海 / 宗教・経済拠点 / 低地 / 生業複合 / 神殿周域住居 / ヘレニズム / 発掘調査
【研究成果の概要】
本課題は、約10年間にわたってエジプトの西方デルタで行ってきた古環境の復元考察の成果を発展させた研究である。具体的には、地中海沿岸のイドゥク湖畔において、歴史時代の古環境を復元し、湖畔に形成された砂丘丘陵で営まれていた生活文化の復元を課題とする。具体的には、同湖畔内にあるコーム・アル=ディバーゥ遺跡の分析を通じて、当該地域で営まれていたと推測される複合経済の実態を考古学的な手法で実証的に検証することをめざす。本遺跡調査では、2018年度までに、当該の遺跡の存続年代(1~3世紀を中心としたヘレニズム時代)と、南側丘陵の頂部に建造されたナオスを核とする神殿周域住居のプラン概要が把握される成果を得てきたため、次段階として、発掘調査に進む計画が立案された。そこで、発掘調査に必要な環境整備を進めるために、遺物倉庫を仮置きするスペースの試掘が必要となったため、2019年度には約1/2域の試掘調査を行った。2020年度にはフィールドができなかったため、2021/10-11には、継続作業として、残り1/2域の試掘調査を完了させた。試掘調査のトレンチは、5mx5mのグリッド12区画分を対象とし、いずれも表層から2.0~2.5m程度までの掘り下げを行って層位堆積を確認した。その結果、深度1.7~2.0mから下には無遺物の砂層が厚く堆積していることが明らかになり、上層に位置する歴史時代のシルト層の構成のあり方も把握された。2020年度には、世界的にコロナ感染症の影響でフィールド調査自体は行えなかったが、代替の課題として、文献資料や民俗資料、画像解析資料等を援用した遺跡景観の復元研究を進めたことで、遺跡研究を複合的に進めることができた。これらの成果は、日本西アジア考古学会主催の発掘報告会やつくば大学主催の研究会での発表を通じて、意見交換が大きくはかられた。
【研究代表者】