変態による動物の環境適応戦略機構に関する研究
【研究分野】植物形態・構造
【研究キーワード】
変態 / 環境適応戦略 / カエル / ウニ / ショウジョウバエ / 魚類 / 甲殻類 / ホルモン
【研究成果の概要】
変態は動物が種の生存と環境適応のために進化の過程で生み出した戦略の一つと考えられる。本研究課題は種々の動物の変態を細胞及び分子レベルで総合的に理解し、この戦略の生物学的意義を明らかにすることを目的として計画された。動物の変態研究分野の共同研究を活発にする目的で、種々の動物種を用いて変態現象の研究を行っている研究者が一同に会した研究会を開催した。また、この成果を元に変態に関する共同研究の企画立案を行い、研究班を組織し、科学研究費補助金特定領域研究(B)に「変態:動物の環境適応戦略の分子機構」の課題名で申請を行うことができた。
研究会(変態機構の生物学談話会)は、広島大学において開催された(社)日本動物学会の関連集会の1つとして、9月26日に「変態研究の多様な側面」という名称で開催された。会場は、ほぼ満席の盛会であった。
各演者のタイトルは以下の通りである。
吉里勝利:「動物の変態現象研究の推進」
岡 敦子:「アフリカツメガエル消化管の再構築における上皮・結合組織相互作用の機構」
河原 明:「両生類変態開始の器官依存的制御について」
菊山 栄:「両生類変態期の変態関連下垂体ホルモン遺伝子発現」
矢尾板芳郎:「変態における両生類幼生の尾の退縮の分子機構の解析」
田川正朋・田中 克:「魚類変態の生理生態」
雨宮昭南:「ウニの変態とtorsion」
末光隆志:「ウニ幼生の変態に関与する神経伝達物質の働き」
木村賢一:「ショウジョウバエ変態過程におけるプログラム細胞死」
渡辺俊樹:「甲殻類における脱皮と石灰化」
この研究会の活動を通して多様な変態現象の中に、幼生組織の細胞死と成体組織の構築という変態の基本的過程に横たわっている共通の分子機構の姿が、わずかずつではあるが明らかになりつつあるとの共通認識を持つことができた。
【研究代表者】