寄生原虫の全長cDNAライブラリを用いた遺伝子発現制御機構の比較生物学的研究
【研究分野】基礎ゲノム科学
【研究キーワード】
寄生原虫 / マラリア / トキソプラズマ / 比較ゲノム / 発現遺伝子 / 発現制御 / 全長cDNA / 遺伝子発現制御 / 全長cDNAライブラリ / マラリア原虫 / トキソプラズマ原虫
【研究成果の概要】
もっとも単純な真核生物である寄生原虫は、医学的重要性のために英米でゲノム解読が早くから進められている。我々は、発現遺伝子の制御機構を解明する目的で、独自に開発したoligo-cap法を利用して、種々の寄生原虫から全長cDNAライブラリを作成し、トランスクリプトームの解析を行った。三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、ネズミマラリア原虫(P. berghei)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasmagondii),クリプトスポリジウム原虫(Cryptosporidium parvum)、タイレリア原虫(Theileria parva、T. orientalis)、アイメリア原虫(Eimeria tenella)から全長cDNAライブラリを作成し、多数クローンの5'端ワンパスシークエンスを決定した。これらを、ゲノムシークエンスにマップして、ゲノムブラウザーを作成した。また、比較ゲノム解析の目的で、エキノコックス条虫(Echinococcus multilocularis)からも全長cDNAライブラリを作成した。これらの成果は、データベース(Full-Malaria)化し、インターネットで公開した(http://fullmal.ims.u-tokyo.ac.jp)。さらに、比較生物学的研究に利用するため比較ゲノムデータベースComparasite(http://comparasite.hgc.jp/)を作成公開した。これらは、寄生原虫の遣伝子発現制御機構解析のための基礎データとなるものである。また、ネズミマラリア原虫の全長cDNAライブラリを利用した新規マラリアDNAワクチンのスクリーニング法を用いて実験を行ない、有望な結果を得て報告した。本法は、真核病原体一般に応用可能と考えられる。
【研究代表者】