新型共焦点ビデオ顕微鏡の開発とグリアー神経交信の解析
【研究分野】生物物理学
【研究キーワード】
共焦点顕微鏡 / ニューロステロイド / グリア / 神経 / カルシウム信号 / 共焦点ビデオ顕微鏡 / 対物レンズスキャン / 3次元分布 / 海馬スライス / 培養細胞
【研究成果の概要】
対物レンズを垂直方向にスキャンすることで、共焦点断層像を垂直方向にリフルタイムで取得できる3次元共焦点顕微鏡システムを構築した。基本構成はニポー円盤を回転させる形式の倒立型共焦点蛍光顕微鏡に、対物レンズをピエゾ素子により上下振動させる装置を組み込んだものである。本システムにより、100μmの厚みの領域を、毎秒最大5回スキャン(取得画像数は30枚/秒)できる性能を実現した。
グリア細胞と神経細胞の共培養細胞系を作成し、Calcium Green-1を用いて染色してリアルタイム共焦点顕微鏡で解析した。アストログリア細胞からのCa信号は周りのアストログリア細胞に放射状に伝播し、アストログリア細胞層の端に位置する神経細胞にCa波動が伝わり、神経細胞のCa興奮が観測された。逆に、神経細胞にCa信号を発生させると、アストログリア細胞層にCa波動が伝わりた。アストログリア細胞をセロトニン、グルタミン酸、ヒスタミンなどで刺激して、発生するCa濃度を調べた。セロトニン刺激直後、細胞内Ca濃度が上昇した。その信号パターンは、Caオシレーションと階段状のCa濃度上昇とその混合された信号という3種類に区別することができた。また、この3種類の信号の比率は神経伝達物質の種類によって大きく異なっていた。
海馬スライスに神経ステロイド、硫酸プレグネノロンを20分作用させてNMDAで刺激し、CA1領域のNMDA受容体を介したCa信号の変化をfura-2で染色して解析した。100μM硫酸プレグネノロン存在下では、NMDA受容体を介するCa流入は2倍に増加した。我々は、RIAによる実験から、神経細胞で活動依存的に発生するCa信号が硫酸プレグネノロン合成の駆動信号であることも発見しており、神経ステロイドが海馬神経細胞で局所的に合成され、正のフィードバックとして、急性的に働くという新しい分野を開拓した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
田名網 健雄 | 横河電機 | 係長(研究職/">(Kakenデータベース) |
木本 哲也 | 東京大学 | 大学院・総合文化研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
田名網 健夫 | 横河電気 | 開発プロジェクトセンター | 係長 |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1998 - 2000
【配分額】13,400千円 (直接経費: 13,400千円)