構造規定された有機修飾金属超原子の創製と電子構造の評価
【研究キーワード】
金属超原子 / 金属クラスター / 電子構造 / 幾何構造 / 超原子 / 超原子分子
【研究成果の概要】
有機分子で表面修飾された金属超原子は、新たなナノスケールの機能単位として期待されている。本研究では、高収率・大量合成法、および孤立状態での構造・安定性・物性の評価方法の開発を通して、表面修飾超原子の基礎学理の構築と応用研究への展開を目指す。本年度は下記の成果を得た。
1) 1原子がドープされた正二十面体超原子M@Au12(M = Pd, Pt, Ir)を高効率に合成し、電子構造に対するドーピング効果を明らかにした。また、Au13超原子に対してPtとCdを共ドープすることで、発光量子収率が相乗的に向上することを見出した。これらの現象を、超原子の概念で統一的に解釈した。
2) あらかじめ構造が規定された超原子を融合する反応を開発し、2個の超原子M@Au12(M = Pd, Pt)が面を共有して連結した超原子分子の合成と構造決定に成功した。また、理論計算の結果をもとに超原子の結合様式を提案した。
3) アルキニル保護超原子M@Au12(M = Pd, Pt)の衝突誘起解離質量分析を行ったところ、アルキニル配位子が2量化してジインとして逐次的に還元的脱離をする過程を見出した。また、脱離生成物が閉殻超原子の会合体に対応する構造を持つことを理論計算によって示した。
4) エレクトロスプレーイオン化源と飛行型質量分析装置の間に四重極型イオントラップを導入し、イオン強度の飛躍的な向上(10倍以上)を実現し、光電子スペクトルのS/N比を向上した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】44,850千円 (直接経費: 34,500千円、間接経費: 10,350千円)