機能性流体の内部構造および流動状態把握への超音波応用に関する研究
【研究分野】流体工学
【研究キーワード】
磁性流体 / MR流体 / 音速 / 磁場 / 異方性 / 超音波 / 減衰率 / クラスター / 機能性流体
【研究成果の概要】
本年度は,昨年度までの成果を踏まえ,印加磁場下における磁性流体とMR流体中の超音波伝播速度変化,磁性流体中の減衰率変化を精密に測定した。
磁性流体とMR流体中の伝播速度は,磁場印加によって増加した。また,磁場の増減によるヒステリシスも存在した。この伝播速度変化は,流体中に形成されるクラスターが密接に関係していると考えられる。MR流体では,内部粒子が大きく,磁場印加で半固体になるため,磁性流体よりも大きな伝播速度変化が得られた。クラスターの形成過程も,磁性流体では鎖状クラスターの成長が見られたが,MR流体では瞬時に塊状クラスターが形成される。磁場を除去した時も磁性流体ではクラスターは崩壊せず保持されているが,MR流体では内部粒子が大きいため,崩壊に転じるという両流体に特徴的な変化が得られた。
磁性流体中の減衰率変化においても,内部粒子の挙動を推測しうる特徴的な結果が得られた。鎖状クラスター方向に超音波が伝播する時,磁場印加後に減衰率は大幅に増加しており,内部粒子が鎖状クラスターの形成に向けて活発に運動していると考えられる。鎖状クラスターが形成されると超音波の減衰に与える影響は小さくなり,減衰率変化も小さくなる。また,鎖状クラスターに垂直に超音波が伝播する時は,超音波の減衰に与える影響が非常に大きく,その結果も複雑であった。
このように磁気機能性流体中の超音波伝播には,内部に形成されるクラスターが密接に関係していると考えられる。今後,MR流体中の減衰率も測定し,磁性流体と比較することを考えている。この超音波伝播のメカニズムは理論的にも非常に複雑であり,その解明にはさらなる詳細な実験と理論的な検討が必要である。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】3,580千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 180千円)