菌類考古学の構築にむけた菌類遺体の形態・古DNAによる同定と古生態の基礎研究
【研究キーワード】
菌類遺体 / 菌類考古学 / 古生態 / DNA / 大型植物遺体 / 古DNA
【研究成果の概要】
菌類が形成する硬い菌核や子実体の遺体や,菌類の侵入により変形した植物病痕のある葉・果実の遺体を,研究代表者が植物遺体の研究の過程で収集した標本の中から識別し,それらの同定を試みた.新潟県魚沼丘陵の第四紀前期更新世 のクロコブタケ科菌類遺体を子嚢殻と胞子の形態の現生標本との比較に基づき,Hypoxylaceae2分類群,Graphostromataceae1分類群,Xylariaceae4分類群を現生種またはその近似種に分類,形態記載を行い,種実類化石から復元される古環境と比較した.過去の菌類と植物・植生との関係を明らかにするために,東北地方の2カ所の埋没林(青森県下北半島の後期完新世猿ヶ森埋没林と山形市立谷川河床の最終氷期最寒冷期の埋没林)の現地調査と試料の分析を行った.猿ヶ森埋没林では,ヒノキアスナロの湿地林を大型植物遺体と試料の年代測定を行った結果,およそAD1420年におきたヒノキアスナロ林の砂丘の活動の活発化による埋積過程と,それに伴う古植生変化を明らかにすることができた.すなわち,湿性植物の豊富な湿地林の環境から,飛砂が増加した時代には湿性植物が激減し,林床の乾燥化が起きたことが明らかになった.下北半島の恐山のヒノキアスナロ林では天狗巣病に罹患した枝条が頻繁に見られるが,猿ヶ森埋没林のヒノキアスナロ枝条には見られず,生育環境の違いが示唆された.山形市立谷川河床の最終氷期最寒冷期の埋没林では,大型植物遺体分析により古植生や古環境の復元を行うとともに,それらに伴って産出するCenococcumなどの菌類遺体を拾い上げ,同定を行った.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
渡辺 洋一 | 千葉大学 | 大学院園芸学研究院 | 助教 | (Kakenデータベース) |
糟谷 大河 | 慶應義塾大学 | 経済学部(日吉) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
工藤 雄一郎 | 学習院女子大学 | 国際文化交流学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)