埋め込み次元法による古環境時系列解折システムの開発
【研究分野】層位・古生物学
【研究キーワード】
カオス / フラクタル次元 / 埋め込み / 時系列解析 / 太陽黒点 / 気候変動
【研究成果の概要】
1.解析システムの構成。大きな記憶容量を持つワークステーションを中心にして、端末としてパソコンをつなぎ、プログラム開発、データ入力、マルチジョブ、画像出力を効率良くかつ気軽に行えるように設計した。この解折は解析システムが完成しても試行錯誤を必要とするので、ワークステーションレベルでの設計が最も適していた。
数値データの入力はキーボードから、グラフデータの読み取りはイメージリーダーで、端末のフロッピーディスクに貯え、必要データはワークステーションのハードディスクに高速のイーサネットで転送して、そこで計算を行う。出力はワークステーション及び端末のグラフィクス画面に出し、必要に応じてハードコピーができる。
2.解析ソフト。時系列データは先ず従来のパワースペクトルを求めて周期性を調べる。これは埋め込みに必要な時間遅れの推定にも使う。時間遅れは自己相関、相互情報量、ポアンカレ断面を計算した上で、およそ適切な値を推定し、その前後で変えてみて最も適切な値(スケーリング域が大きくなる)を決定する。その上で、次には適切な基準点の選択に進み、最後に統計的な平均処理をしてアトラクター次元をきめる。この間、計算機との対話性をできる丈良くして、結果の安定性を確かめやすくする。
3.結果の応用。求めた自由度を持つ相空間の上でノイズリダクションをし予測のための局所ベクトルを全域にわたって求め、予測に使う。ただしこのソフトは未だ完成していない。
4.太陽黒点数の変動。上記の解析法を使って太陽黒点数の変動を埋め込み次元解析した結果、この変動のアトラクター次元が4、2、即ち自由度5の小さい自由度を持つ変動であることを見出した。より長期間の気候変動データの解析を次に試みている。
【研究代表者】