アクティブマターのトポロジカル制御とトポロジカル物性
【研究キーワード】
アクティブマター / 集団運動 / バクテリア乱流 / アクティブ乱流 / トポロジカル物性 / 非平衡物理学 / 非平衡統計力学 / 生物物理学 / バクテリア
【研究成果の概要】
トポロジカル現象が出るとの理論予測がなされている柱格子構造中でアクティブ乱流の観察を引き続きおこない、渦秩序の発生を確認した。柱格子の格子定数を変えることで、渦秩序構造が生じやすいパラメーターの探索を進めた。得られた最適な条件に基づき、格子サイズやエッジの形状などを変えることで、目的の条件が得られると期待できるため、その準備を進めている。
トポロジカル現象の観察のためには、バクテリア濃厚懸濁液の示すアクティブ乱流中におけるバクテリア数密度のゆらぎを検出する必要がある。そのために、数密度を各時刻・各場所において検出する方法の検討を進めた。具体的には、透過光強度による定量化手法や、蛍光たんぱく質を発現するバクテリア株をもちいた蛍光強度による定量化などを試し、密度分布を定量化できることを確認した。また、この際の蛍光観察に最適な光学系やサンプルの条件などの詳細な検討をおこない、コントラストの高い画像が得られるようになり、ゆらぎの直接検出に必要な準備が概ね整った。
並行して、柱表面でのアクティブ乱流の境界条件を詳細に理解するため、バクテリア1匹の柱近傍でのダイナミクスを詳細に調べる実験および流体数値計算をおこなった。ガラス板2枚の間に柱を作成し、2枚のギャップを変えることで空間の次元を3次元的なものから擬2次元へと変化させることで、バクテリアが柱表面に滞在する時間が急激に増えるという擬2次元の特異性を発見した。これは、バクテリアと固体境界のミクロな相互作用に基づくマクロな境界条件の次元依存性に関わるだけでなく、バクテリア同士の相互作用とそれにより現れるマクロな集団運動状態の空間次元依存性につながる理解へとつながった。この結果は論文としてまとめ、現在投稿中である。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)