フラストレートした構造を持つ磁性体の理論
【研究分野】固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
【研究キーワード】
強相関電子系 / フラストレーション / 量子反強磁性 / 軌道秩序 / スピネル / パイロクロア格子 / カゴメ格子 / パイクロア格子 / 多バンドハバード模型 / 幾何学フラストレーション / 軌道自由度 / 磁性体 / 動的平均場 / 重い電子系
【研究成果の概要】
本研究計画においてはフラストレートした構造を持つ磁性体、特にパイロクロア格子とカゴメ格子を中心として、フラストレーションがどのように強相関効果に影響を及ぼすのかという問題を理論的に研究し、新奇な量子相の発見とその性質の解明を目指した。
パイロクロア格子上の量子ハイゼンベルグスピン系を量子極限(S=1/2)と半古典極限(S→∞)の両極限でその基底状態を調べ、新奇な量子液体状態の可能性を探った。特にS=1/2の場合には基底状態は、2種類のダイマーまたは4量体が共存する状態であることを示した。
次にLiV_2O_4における重い電子系的振舞いを明らかにするため、パイロクロア格子上の軌道縮退を取入れたハバード模型を考察した。その結果、スピンと軌道の結合した自由度が実空間で非常に局在して揺らぎが増強していることを意味しており、実験における近藤効果的な振舞いの説明になり得ることを示した。
フラストレーションがある場合の電子相関効果を乱雑位相近似を超えて調べるため、カゴメ格子上の単一バンドハバード模型をhalf fillingの場合にFLEX近似によって研究した。フラストレーションが強い極限では磁気的不安定性が大幅に抑制され、また、それに伴って電子の運動がコヒーレンスを回復し、金属相が安定化されることがわかった。
フラストレートした系の大きな特徴の一つである局在した磁気励起の影響を調べるため、飽和磁場付近の熱力学を研究した。低温の有効モデルの厳密な熱力学関数の計算に成功し、相図と転移の臨界指数を決定した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
求 幸年 | 筑波大学 | 物質工学系 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2003
【配分額】2,200千円 (直接経費: 2,200千円)