統計的推定理論による非平衡熱力学の深化
【研究キーワード】
推定理論 / 非平衡熱力学 / 量子確率過程 / 統計的推定理論 / 熱力学 / 統計的推定 / 確率過程
【研究成果の概要】
近年,確率熱力学において熱力学不確定性関係と呼ばれる普遍的な不等式が成立することが発見された.この不等式は「cost」と「quality」に対する不等式であり,高いqualityには高いcostが必要であることを示している.このようなトレードオフ関係式は統計的推定理論においても,Cramer-Rao不等式をはじめとして数多く存在する.本研究では,非平衡熱力学と統計的推定における不等式間の類似性に着目し,非平衡系における関係式を統計的推定の観点から解明した.古典・量子推定理論を用いることで,古典・量子系において新しい熱力学不確定性関係が成立することを示した.
【研究の社会的意義】
本研究成果によって,任意の開放量子系における熱力学不確定性関係が初めて導出された.熱力学不確定性関係は与えられた熱力学コストで,最も高い精度を与える量子熱機関を理論的に導出することができるため,最も効率的な量子デバイスの設計原理が明らかとなる.また,量子熱力学不確定性関係が明らかになることで,観測データのみからその量子熱機関がどれだけのエネルギーを消費しているかを推定することができるようになる.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)