流体方程式の数学理論
【研究分野】解析学
【研究キーワード】
vortex filament / Cahn-Hilliard oquaton / Free boundary problem / Stefan problem / Highen integrability / difference differentical egstem / generalized Bessel function / Navier-Stokes方程式 / Euler方程式 / 自由境界問題 / Stefan問題 / 渦系方程式 / 相転位 / 合流型超幾何関数
【研究成果の概要】
流体現象を中心とした非線形現象に現れる種々の非線形偏微分方程式の可解性及び解の定性的性質を調べてきた.1998年度の研究成果は以下の通りである.
渦糸方程式に関しては,軸流を伴う場合も伴わない場合も,その初期値問題及び周期境界条件を課した初期-境界値問題の時間大域解の一意存在が証明できた(Publ.RIMS Kyoto Univ.に掲載).二相問題と自由境界問題が物理学上も数学上も興味ある今後の重要な問題であるが,それに関しては次の結果が得られた.
(1) 圧縮性Euler方程式(渦あり)の二次元亭状領域での一相自由境界問題(深さが無限の時)の時間局所解の一意存在が証明できた(Adv.Math.Sci.Appl.に掲載予定).
(2) (1)と同じ問題が有限の深さの場合にも自由表面上で表面張力が作用する,しないに拘らず唯一つの時間局所解を持つこと及び表面張力係数が0に収束する時対応する解も収束することが証明できた.これらの結果は現在投稿準備中である.
(3) Boussinesq近似をした非圧縮性Navier-Stokes方程式に対する一相Stefan問題の古典解の存在が証明できた(SIAM J.Math.Anal.に掲載予定).
Steran問題とも関連するが,相転位を記述するモデル方程式であるChan-Hilliard方程式の特徴は空間4階微分を含むことにあり,そのためその数値解析はまだ十分にはなされていない.離散格子上でいくつかのパターンについて調べた結果が情報処理学会論文誌に掲載された.
相転位現象は自由エネルギーの形により考える方程式は変わってくるが,いずれにしてもエネルギー最小化関数の等高線集合を用いて議論が重要である.その基礎理論を構築する一環として,楕円-放物型差分微分方程式の解の正則性を変分法を用いて調べた(Z.Angew.Math.Phys.に掲載).さらに詳しい解の性質を調べるには何らかの仮定のもとで常微分方程式に帰着するのが常套手段である.その基礎理論として,2変数Bessel関数の満たす偏微分方程式系の不確定型特異集合のまわりで解の漸近挙動を調べた(Tohoku Math.J.に掲載).
【研究代表者】