全国を網羅した地形・地盤ディジタルマップの構築に関する研究
【研究分野】自然災害科学
【研究キーワード】
GIS(地理情報システム) / 地形分類 / 地質分類 / 国土数値情報 / 生産土砂量 / ディジタルマップ
【研究成果の概要】
本研究では,日本全国を統一基準で分類した工学的な地形・地盤ディジタルマップ(GISデータベース)の構築を行った。このマップは行政区域を越えた極めて広い地域に適用されるハザード評価システムなどにおいて地盤地形参照データとして機能することを目指すものである。データベース構築に際し,行政管理庁告示第143号(昭48.7.12)による約1km四方の基準地域メッシュを用いることにより,公的統計データ,国土数値情報,数値地図,各種GISシステムへの導入の便宜をはかった。対象とする災害は,(1)地震動の増幅,(2)土の液状化,(3)地震,降雨,噴火による土砂災害,(4)洪水,高潮による水害,(5)津波による浸水,などであり,これらの評価に必要なデータベースの属性について検討を行った。その結果,表層地盤の構成と密接な関係を有し,既往の研究によって上記の災害との相関が示されている地形分類を主な入力属性として採用することにした。全国約39万個の各メッシュに与える地形分類の基準は,純地形学的な分類基準を踏襲しつつ,地盤条件の判読という工学的利用途を考慮した分類基準を新たに設定し,既存の地形分類図を参考にしつつ,申請者らの研究グループの地形学と地盤工学の専門家が各メッシュに与えられるの地形分類の属性を判定した。
山地地域については,土砂災害評価などの実用途を踏まえて,地形分類に加えて地表面の傾斜と表層地質(岩石区分)に関する属性を追加した。以上の分類基準の有効性を検証するために,全国の数カ所の山地地域を対象として,生産土砂量の実測値と本マップで提案する地形・地盤分類と傾斜の関係についてのケーススタディを行った。その結果,本研究による分類基準は,従来の起伏量や地質のみによる分類に比べて生産土砂量との相関が高く,実務上有効であることを確認した.以上の検討を経て,全国の地形・地盤ディジタルマップの試作品を構築した。
【研究代表者】