公共政策決定過程における「談合」「取引」の発生要因の研究
【研究分野】政治学
【研究キーワード】
談合 / ディール / サイドペイメント / モンゴル / 政治的談合 / 交渉 / 体制 / 争点 / 公共 / 政治史 / 政治過程 / 政治 / 取引 / 政策 / やらせ / 多極共存 / 民主主義 / 情報 / as if / 議会 / 透明性 / 外交 / 秘密 / 公共性
【研究成果の概要】
コロナ禍が研究対象をいかに変化させているかを、2つの作業仮説をもとに再度検討した。この結果、体制モデルと争点モデルの双方から、談合とディールについての研究手法と理論的整理をほぼ終えることができた。ニコルソンのいうように専門化された外交交渉への批判が20世紀に入ってから、とりわけウィルソンやレーニン以降、公開外交や人民外交の名のもとに民主政治の争点となっている。それでも、立法府が外交を行うことは少なく、またあったとしても行政府を補助する、あるいは監視する役割しか担わない。そこに民意と外交との乖離が生まれる。外交主体は等価的取引として認識していても、民意はそうとらえず、多大な説明費用が発生する。これに対する恫喝的取引は、大国に多用された歴史を持つ。
事例としては、2010年代後半のモンゴル・中国・ロシアの関係をトライアングル理論で分析し、コロナ禍がいかにそれに影響したかを考察した。
総じて、談合とそれをもたらすディールは、21世紀の今日になってもなお、あるいは一層のこと現れている。国内の民主主義の深化に比して、主権平等の原則に基づく国際関係の民主化は進んでおらず、むしろ米中露の大国外交にみられるように主権国家間の透明的な意思決定は縮小している。政治体制の観点からは、トランプのように民主主義諸国でもディールや談合が大っぴらに言及されるようになり、技法としての精緻化と政治化がみられる。サイドペイメントが少なくとも、民主主義国モンゴルのような牽制をとりまぜた等価的取引に巧みな国は、外交上手として引き続き評価されるであろう。最適解を探るには、対面による交渉が有利である。ゆえにポスト・コロナの世界が透明性を高めるのと同時に、談合空間も想定しなければ、限られた世界の政治資源と国家間対立を止揚するのが難しいという理解に到達した。
【研究代表者】