大気及び道路面からの多環芳香族化合物の雨天時流出汚濁負荷量の評価手法
【研究分野】環境保全
【研究キーワード】
ノンポイント汚染源負荷 / 下水道 / 分布型モデル / GIS(地理情報システム) / 雨天時汚濁負荷流出 / PAH(多環芳香族炭化水素) / 大気粒子状物質 / 微量汚染物質
【研究成果の概要】
近年、大気系負荷、降雨含有負荷、路面・屋根などへの堆積負荷由来の微量汚染物質によるディフューズポリューションが、公共用水域の水質汚染や水域生態系への影響として相対的に大きくなっている。これらノンポイント汚染負荷の晴天時堆積及び雨天時流出の挙動は、降雨強度、晴天時継続日数、土地利用、地表面タイプなど様々な要因に支配されるため、その定量化は非常に難しい。現在、地表面の水文学的モデル及び下水管内水理モデルを組み合わせることによりノンポイントの雨天時汚濁負荷を定量的に評価可能な分布型モデルが開発されてきており、従来の集中型モデルに比べより詳細な解析が可能となっている。そこで、本研究ではこの分布型モデルとGISとを組み合わせ、交通量と関連づけながら大気や路面由来の多環芳香族化合物(PAH)の雨天時流出負荷量を評価する手法を、市街地下水道ネットワークにおける汚濁負荷解析システムの構築を通じて達成する研究を進めている。
具体的には、流域面積67ha、分流式下水道を有する茨城県牛久市刈谷排水区を対象流域とし、二つの観測施設を設置し、降雨、水位、濁度の連続測定、及び連続降雨を対象としたSSデータの測定を行った。そして、観測データに基づく雨水流出モデル及び汚濁負荷モデルの検証では、工種毎に異なる懸濁物の流出パターンを定義することにより、再現性が向上することが明らかになった。
一方、大気や路面由来のPAH調査に関しては、大気粒子状物質、路面への降下物質と堆積物質などを対象として、PAHの抽出・分析条件及びサンプリング方法を検討した。その結果、超音波処理を伴う抽出回数を最低2回行うことが必要であること、フィルターにシリコングリスを塗ったPAH降下量サンプリング方法では大きな誤差が生じやすいことが明らかとなった。また、路面サンプルの測定値のばらつきを検討して、適正なサンプリング面積を決定した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
中島 典之 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
荒巻 俊也 | 東京大学 | 先端科学技術研究センター | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】4,900千円 (直接経費: 4,900千円)