読者とメディアの関係から近代日本文学表現の変遷を分析する研究
【研究分野】日本文学
【研究キーワード】
読書論 / 読者 / 日本近代文学 / モダニズム / 沖縄 / 登山 / 博覧会 / 資料保存
【研究成果の概要】
本研究の目的は、読者、及び読書の研究、そしてその評価を通じて、近代の言語表現にはらまれる問題を明らかにしてゆくことにある。本年度は、特に読書の問題を、限られた地域や都市の問題としてではなく、地域的、空間的な広がりをどのようにとらえるのか、という観点からの調査に重きを置いた。
単に特定の書物や作家をとりあげるのではなく、それら情報が、どのように様々な地域に広がり、もたらされていたのか、をも視野に入れた調査である。こうした観点からの調査が、これまでの読者や読書についての研究では十分に明らかになってはいない。
より具体的には、都市と辺境との間での情報の流れ方、あるいは都市文化における独特の情報形成に関して重点的に調査を行っている。前者は、沖縄を素材として、近代の沖縄をめぐる論、情報が、どのように広がっていったかを、目録作成作業とあわせて行い、本年度から来年度にかけて、成果を報告、刊行する。
また、後者に関しては、モダニズム文化と言語表現の分析を中心に行い、モダニズム詩の活動と都市文化、及び地方都市における表現活動とを視野に入れた調査を行った。詩雑誌と読者とのかかわりを軸にした研究成果も、来年度刊行される予定である。
読書を、情報の空間的な広がりとしてとらえる研究手法の可能性について、これまでの読書についての研究をふまえつつ明確に位置づける研究も現在進めている。また、こうした地域情報を保存し、活用してゆく作業も並行して行った。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】3,300千円 (直接経費: 3,300千円)