シーア派イスラームの聖廟・墓地の形成と発展:法理論と地理空間情報による総合的研究
【研究分野】思想、芸術およびその関連分野
【研究キーワード】
墓 / シーア派 / 死生観 / イスラーム / 都市 / 地理空間情報 / 聖者廟 / 移葬 / シーア派イスラーム
【研究成果の概要】
本年度も昨年度に引き続き、新型コロナウイルス(Covid-19)感染症の世界的な流行のため、イランで予定していた現地調査、および歴史的なムスリム墓地を主たるテーマとした墓地の国際研究集会を開催することができなかった。
本研究課題の成果の一部としては、以下の3本の論文が挙げられる。まず、①「隔離される巡礼者たち:シーア派聖地巡礼と検疫制度の近代」(特集:感染症と人間の移動)(『歴史学研究』1011、26-37頁)では、世界最大規模の墓地を擁するイラクのイマーム廟に埋葬される数千もの遺体の運搬(移葬)・管理について考察した。②「聖都アルダビールとサファヴィー朝下のサフィー廟」(『アジア・アフリカ言語文化研究 別冊』1、213 -230頁)では、サファヴィー朝期のサフィー・アッディーン廟(アルダビール)について、マシュハドのイマーム・レザー廟との比較を交えながら、聖者廟の建造物配置(聖者の墓、教団の修道場・集会所等、および墓地)について具体的に検討し、聖者廟の“社会的”役割と、都市空間構造内での特性について検討を行った。③「イスファハーンの歴史的墓地にみる都市と墓地の空間構造」(新学術領域研究『都市文明の本質:古代西アジアにおける都市の発生と変容の学際研究4』、205-216頁)では、これまで検討してきたイスファーンの20余りの墓地について、主に、19世紀後半の地誌情報と20世紀初頭のイスファハーン市街図を用いて、都市空間の中で墓地がどのように変遷したかを詳述し、都市の周辺(=市壁の外側)に配される一般墓地と都市域との関係、および墓地の中で聖者廟が果たす役割や異教徒墓地について試論を提示した。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2017-06-30 - 2023-03-31
【配分額】6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)