1940年代のインドネシアにおける政治変動と暴力に関する研究
【研究キーワード】
インドネシア / 華人 / 暴力 / 政治変動 / 脱植民地化
【研究成果の概要】
本研究は1940年代のインドネシアにおける政治変動と暴力との関係を歴史的に解き明かすことを目的としている。政治変動と(社会的)暴力との関係に関する従来の研究ではもっぱら、政治変動「後」に発生した暴力を研究対象としてきた。ところが本研究の対象であるインドネシアでは、1998年の政治変動(権威主義体制から民主主義体制への体制移行)が発生した際、もちろん政治変動後に政治的な不安定性が暴力の引き金になったが、体制移行以前の1997年からインドネシア各地では暴力が発生していた。そのなかでも顕著なのが華人に対する暴力であった。
インドネシアの歴史を振り返ってみると、こうした1997年から体制変動が起こった1998年までの対華人暴力は稀有なことではなかった。1940年代は特筆すべき時代であった。1940年代には4回にわたる政治変動(オランダ植民地統治→日本軍政→インドネシア共和国独立→オランダの復帰→インドネシアの主権獲得)が発生した。そこでは政治変動「後」よりも、その「前」に暴力、特に対華人暴力が発生した。
本研究のリサーチ・クエスチョンは、なぜ政治変動の「前」に対華人暴力が発生したのかである。この問いに答えることは、政治変動を誘発する社会的暴力(対華人暴力)が発生したメカニズムを解明することになる。本研究は、その社会的暴力の発生のメカニズムのなかに政治変動が「内包されていた」からこそ、暴力が起こったという仮説を証明することになるであろう。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
チャンドラ エリザベス | 慶應義塾大学 | 国際センター(三田) | 講師(非常勤) | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)