漢代における物語のジャンル横断的研究―古代的宗教世界の解体を承けて
【研究分野】中国文学
【研究キーワード】
中国 / 漢代 / 物語 / 文学 / 史記 / 賦 / 歌謡 / ジャンル横断 / 漢書 / 礼楽 / 経典 / 世俗化 / 儒教 / 中国文学
【研究成果の概要】
早期の賦や『史記』における神話的・宗教的要素とその変容について、俯瞰的な論考を発表するとともに、そこにみられる戦国の世の物語・漢武帝の世の物語についてそれぞれ考察した。また、前漢末の揚雄や後漢の文人について、その作品や、その他の自己言及の分析を通じ、自己を語る物語についての考察を発表した。これらの成果を通じ、漢代における物語の諸相について、史伝・歌・賦・文などのジャンルを超えて明らかにした。
また、『漢書』礼楽志の訳注を完成し、こうした物語世界の基層を解明するための材料を整備した。
【研究の社会的意義】
漢代は、文学史においては低調な時期ととらえられることが多く、研究対象も個別の作家や個別の作品にとどまっていた。概括的視点から眺めるにしても、史伝・賦・文・楽府・古詩などの各ジャンルが別個に考察されてきた。本研究では、それらを横断する軸を設定して、神話が力を失った後の「物語の時代」として漢代をとらえ直し、その固有の意義を明らかにすることができた。
また、『漢書』の「志」のうち訳注がなされないままになっていた礼楽志について、その訳注を完成したことは、文学にとどまらず思想や歴史の研究にも寄与しうるものである。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2016-04-01 - 2022-03-31
【配分額】2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)