土器出現期の日本列島人類を探る:日向洞窟出土縄文草創期人骨の考古科学的研究
【研究分野】文化財科学・博物館学
【研究キーワード】
土器出現期 / 縄文時代草創期 / 後期更新世 / 人骨 / DNA / 放射性炭素年代測定 / 日向洞窟 / 年代測定 / 古DNA / 形態人類学 / 考古科学
【研究成果の概要】
山形県日向洞窟から出土した散乱人骨群の年代をAMS法で測定し、形態とミトコンドリアDNAについて分析した。年代を測定した人骨の多くが1万年前を遡る値を示し、最も古い値は約13,000年前であった。この年代値は、縄文時代草創期に相当する。日向洞窟人骨は断片的であったが、四肢骨骨幹部の形態学的特徴が縄文時代早期人骨に近いことを明らかにできた。また、日向洞窟人骨のミトコンドリアDNAのハプログループは、縄文時代人に見られるタイプの祖先的タイプと考えられた。
【研究の社会的意義】
土器の利用開始は、人類社会にきわめて強いインパクトを与えた歴史上の一大イベントである。日本列島の縄文時代草創期(約16,000~11,500年前)は、世界的にかなり早い土器出現期であり、内外の研究者から多くの関心が寄せられてきたが、この時期の人骨は知られていなかった。本研究は、山形県日向洞穴から出土した人骨に草創期人骨が含まれていることを初めて明らかにし、その系統的位置づけを試みた。
【研究代表者】