離島の流通・消費インフラに関する地理学的研究
【研究キーワード】
離島 / 離島活性化 / ネットスーパー / 九州地域 / 隠岐諸島 / 飛島 / スマートアイランド / フランス / 改正離島振興法 / 物流 / インターネット / 特産品 / ブランド化 / 地域計画・地域政策 / 離島振興法 / 生活インフラ / 生活サービス
【研究成果の概要】
本年度は,離島の流通・消費インフラの最近の変化に関する情報を収集し,予備的な現地調査を行う予定であったが,コロナ禍の影響で,現地調査の多くは年度内の実施を断念せざるを得なかった.そのため,2022年度以降の現地調査実施のための準備作業を進めたが,その過程で,以下のような点が判明した.
(1) ネットスーパーに関するアンケート調査のための情報収集の結果,離島のネットスーパーの運営方法としては,専用在庫と連動した電子カタログを用いた本部統括方式と、離島航路の発地に近い実店舗の在庫をピッキングする実店舗方式があるが,それぞれの方式で,離島特有の問題点も存在する.一方,ネットスーパーのシェアの高まりは,島内の既存小売業の存立基盤を脅かすことになり,それを利用できない住民の利便性低下や,荒天時等の商品在庫不足など,様々な弊害も予想される.
(2) 流通関係でネット利用の盛んな島根県隠岐諸島の小売業全事業所を対象としたアンケート調査の結果,小売事業者は,島内の過疎化や高齢化による市場の縮小に直面するとともに,安価かつ幅広い商品を取扱うネット通販,島内に進出したチェーンストアとの競合を強く意識していることを確認できた.
(3) 2021年度の「スマートアイランド推進実証調査」を実施した山形県酒田市の飛島は,高齢化が著しく進み,定期船の欠航が多い冬期には,島内の商店もほとんど営業していないが,最近は,島外からの移住者らによって,島内の活性化に向けた様々な活動が行われており,「実証事業」も彼らの活動の一環である.
(4) 外国での離島における流通・消費インフラの事例として,フランスに関する予備的な文献調査の結果,同国の同インフラの整備は,国内での諸制度の統一化政策とEUの地域格差是正政策の影響を受けている可能性があることが判明した.
【研究代表者】