日本人の生活遂行能力(ライフ・フィットネス)に関する研究
【研究分野】体育学
【研究キーワード】
生活遂行能力 / 筋量 / 筋力 / 筋パワー / 加齢変化 / 筋萎縮 / 部位差 / 運動処方 / 歩行パワー / 走行パワー / 膝伸展筋群 / 筋厚 / 車椅子利用車 / 加齢 / 体幹筋量 / 超音波法 / 歩・走パワー / トレーニング / 中年女性 / 身体組成 / インピーダンス法 / MRI法 / 体肢筋体積 / 関節トルク / トルク / 筋体積比
【研究成果の概要】
本研究は、多人数の被験者集団にも応用可能な簡便な筋量・筋機能の評価方法を確立すると同時に、それを若年齢者から高齢者までの幅広い年齢層に適応し、現代日本人の生活遂行能力(ライフ・フィットネス)の現状、およびそれを維持・増進するための運動プラグラムについて検討することを目的とした。その主な結果は次に示す通りであった。1)インピーダンス法および超音波法による体肢筋体積の測定値は、magnetic resonance imaging法により実測された値ときわめて高い相関関係にあり、多人数を対象にしたフィールドワーク的な研究において、筋量の定量化に有用であるということが示唆された2)加齢に伴う筋体積および筋力の低下は上肢筋群より下肢筋群において顕著であり,なかでも膝伸展筋群のでは40歳代以降に減少し始めることが明らかになった。また、腹部の筋厚は下肢の筋群のそれと同様に加齢の影響を受けやすいことが明らかになった。3)下肢筋群の機能について膝伸展パワーおよび歩・走パワーの測定結果も加え検討したところ、等尺性筋力よりも動的な状態で発揮されるパワーの方が加齢の影響を受けやすいことが明らかとなった。4)中年女性30名を対象に、体重を負荷とする運動プログラムを6ヶ月間にわたり実施した結果、週5日以上の頻度で運動を実施した者の場合に、トレーニング期間終了後、皮下脂肪量が減少し、体脂肪率が低下する傾向がみられ、椅子の坐り立ち、膝伸展パワー、走スピードといった身体機能に関する測定結果も有意に改善された。さらに、中高年齢女性では、1日の歩行数と筋体積当たりの膝伸展力および踵骨の強度との間に正の相関関係が認められ、中高年齢期における身体活動量の維持・増進は、筋機能および骨強度を正常に保つうえで、重要な役割を果たしていると考えられた。
【研究代表者】