大局的神経回路解析と脳局所興奮性に基づく、てんかん発作予測指標の開発
【研究キーワード】
神経回路 / 非侵襲的脳刺激 / 脳磁図 / てんかん / 非侵襲的脳刺激法 / ネットワーク
【研究成果の概要】
本研究では、大局的に発作関連部位を同定するために大規模脳磁図データを用いた検討を行い、脳局所の興奮性を精密に判定するために経頭蓋磁気刺激等の非侵襲的脳刺激法を用いた研究を行うものである。最終的に両者の成果を統合し、的確なてんかん発作リスク予測・治療方針決定に役立つことを検証してゆくことを目指し本年度の研究を遂行した。主な成果として、以下が挙げられる。① 既存の臨床データを活用してより高度な解析を行うためのパイプラインを構築した。被験者個人の頭部画像に対して、脳磁図信号から推測された頭蓋内電流分布を投影するための道筋が得られた。通常のてんかん発作波の解析においては単一ダイポール推定により発作波の頂点近くのタイミングにおける電流源を点推定するが、本手法では電源の空間分布を確率的に推測可能である。② 神経疾患における小脳と大脳の間の大局的機能結合につき、経頭蓋磁気刺激を用いた検討結果を論文として発表した(Shirota et al. Cerebellum 2022)。直接てんかん患者における計測を行った結果ではないものの、患者群での神経回路変化について有意義な結果が得られた。③ 脳刺激下での脳磁図測定の実施可能性について、ファントム(頭部模型)を用いた予備的検討を行った。ファントム内の電流源を脳磁図により推測するにあたり、経頭蓋直流電流刺激の有無は大きな影響を及ぼさないことが示唆された。以上、次年度に向け各要素を有機的に統合するための基礎的な検討が行えた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)