共感性を創出する没入型タンジブル平和学習システムの開発
【研究キーワード】
バーチャルリアリティ / タンジブルユーザインタフェース / 平和教育 / 学習コンテンツ / 共感性
【研究成果の概要】
昨年度までに開発された没入型タンジブル平和学習用VR教材に,原爆投下後のバーチャル環境を実装した.学習者は,テーブル上に建物模型を配置し,原爆投下前の長崎市の街並みを再現する.その際,建物模型で再現した街並みは,バーチャル環境にもリアルタイムで構築される.また,HMD(Head Mounted Display)を装着することで,学習者らが構築した「模型ワールド」に入ることができる.次に,両手に持ったコントローラによって,当時の街並みの詳細や生活感を示した「原爆投下前」に切り変えることができる.さらに,両手のコントローラのトリガーを引きながら,バーチャル環境のコントローラの先端に表示された2つの球体を接触させることによって,「原爆投下後」に切り変えることができる.
本教材を体験した高校生から社会人を対象に主観評価によるアンケート調査を実施した.参加者らは,「興味・関心」,「学習意欲」,「臨場感」,に関する質問項目に回答した.また,質問項目に対する肯定回答と否定回答をそれぞれ算出し,人数の偏りについて直接確率計算を行なった.主観評価の結果,被爆前後の長崎の様子や第二次世界大戦について知りたくなるような導入教材としての可能性が示された.また,高い臨場感を与えるとともに,被爆者の気持ちを想像させる可能性が示唆された.今後は,バーチャル環境での情報提示を充実させ,被爆体験者との心理的距離の縮小に関する学習効果の検証が課題である.
なお,本研究で得られた知見について,JSET全国大会(春季大会)において発表を行なった.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
全 炳徳 | 長崎大学 | 情報データ科学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
森田 裕介 | 早稲田大学 | 人間科学学術院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)