身体活動推進のためのポピュレーション戦略:地域ランダム化試験およびその拡散研究
【研究分野】応用健康科学
【研究キーワード】
身体活動 / 運動 / 健康づくり / ヘルスプロモーション / ポピュレーション戦略 / 地域介入研究 / 生活習慣病 / 地域介入 / クラスターランダム化試験 / ソーシャルマーケティング / 社会医学 / 医療・福祉 / 行動学 / ポピュレーションアプローチ / dissemination research
【研究成果の概要】
身体活動不足をポピュレーションレベルで改善する方策として、ソーシャルマーケティングを活用したコミュニティ・ワイド・キャンペーンに着目し、その効果をクラスターランダム化試験で検討した。島根県雲南市の12地区をランダムに介入地区と対照地区に割付け、ランダム抽出した地域住民4414名の追跡調査を行った。その結果、主要評価項目である5年後の身体活動実施者割合の変化に群間差(4.6%, 95%CI:0.4-8.8)が認められ、介入効果を確認できた。7年後の要介護認定、全死亡では期待した効果を観察できなかった。さらに2016年より、社会実装研究として雲南市全域に介入を広域化する単群前後比較研究を開始した。
【研究の社会的意義】
健康日本21等の政策にもかかわらず、日本人の身体活動は減少傾向にあるが(国民健康・栄養調査)、ポピュレーションレベルで身体活動実施者を増加させる地域介入のエビデンスは極めて少ない。本研究はコクラン・レビュー(Baker, Cochrane 2015)において、収載された33の地域介入研究中で最もバイアスリスクの低い研究と評価されている。したがって、厳密なランダム化試験で地域レベルの身体活動の変化を報告した最初の研究であり、価値が高い。また、この成果を発展させて新しく雲南市全域を対象とする社会実装研究に着手することができたことも成果である。
【研究代表者】