古代社会の発展と都市化の比較考古学的研究
【研究分野】考古学(含先史学)
【研究キーワード】
比較考古学 / 社会考古学 / 都市化 / 社会の複雑化 / 古代文明 / 野外調査 / 通文化研究 / 社会 / 複雑化 / 方法論
【研究成果の概要】
本研究では、古代社会における複雑化・階層化、また都市化の問題をとりあげ、研究代表者・分担者がこれまでも調査を実施してきた日本、韓国、中国、エジプト、西アジア、北米、メソアメリカ、南米などについてケース・スタディを行ったうえで、比較考古学の方法論を探りつつ、通文化的に検討した。
とくに、2002年度には、研究代表者の菊池、分担者のうち岡内、高橋、近藤および寺崎が、メソアメリカの現地調査を行った。メソアメリカの神殿をともなう都市遺跡こそ、新大陸における古代社会の発展、都市化の問題を考える上で、不可欠の資料だからである。実際、各自がそれぞれのフィールドでの問題意識と比較しつつ調査を進めたことで、大きな成果をあげた。
さらに、メソアメリカと並ぶ重点領域として、菊池、高橋らは、北米において、北西海岸(2003年度)、クイーン・シャーロット諸島(2004年度)、ミシシッピ文化の諸遺跡(2005年度)のフィールド・ワークを実施し、特に日本列島の縄文文化をはじめ、世界各地の先史社会を比較検討するうえで重要な知見を得た。その成果は一連の論文として公表された。
こうした事例研究の成果をまとめるため、また研究組織内だけでは得がたい多角的な検討を行うため、2004年12月に、国際研究集会『考古学からみた社会の複雑化』を開催し、菊池、岡内、高橋、近藤、寺崎および小高を含む15名が研究成果を発表した。さらに、1月にも発表者が再度集い、比較考古学的視座から社会の複雑化に関する座談会を開催した。その成果は、研究の一応の総括として、『社会考古学の試み』(同成社)と題し、出版された。
その後も各地の調査を継続し、研究の精緻化に努めたが、もとより、「古代社会の複雑化、都市化」という大きなテーマに対し、この短期間ですべての結論を出せるはずもない。今後もなお何らかの資金を得て、追究は継続したい。
【研究代表者】