「環境」・「情報」・「生命」の相互連関をめぐる哲学的基礎研究
【研究分野】哲学
【研究キーワード】
環境 / 情報 / 生命 / 生命倫理学 / 環境倫理学 / 道徳的責任
【研究成果の概要】
前編では、研究課題に関する個別の接近法による論考がなされる。新田は、臓器移植問題を素材に、生命倫理学への功利主義的な考え方の適用について、批判的に検討した。石原は、ヒュームの共感論、ユクスキュルの環境世界論、シェーラーの人間学を比較し、環境と人間との関わりについて、原理的な考察を行なった。佐藤・坂井は、性同-性障害と性転換手術という、生命倫理学の問題について、また、溝渕・新田は、自然保護と多様性概念という、環境倫理学の問題について、それぞれ吟味した。三浦は出生前診断の問題を扱い、「生命の尊厳」という概念の再評価を目指した。坪井は、わが国における情報公開法の成立経緯と意義について論じた。中川は、情報とは何かという問題について原理的に研究した、イズレイル&ペリーの論文を紹介した。
後編では、応用倫理学の基礎をなす倫理学諸問題についての研究が行なわれる。村上は、道徳的責任と決定論との関係という問題について、J・M・フィッシャーの半両立論とD.デイヴィドソンの非法則的一元論を手がかりに考察した。屋良は、二重結果原則の問題について、M・E・ブラットマンの議論を検討することを通じて論じた。大小田は、村上と同じ道徳的責任と決定論の問題をめぐって、H・G・フランクフルトの主要論文を紹介し、フランクフルトの議論に批判的な注釈を加えた。田村・坂井は、屋良の扱った二重結果原則の問題を義務論への批判に結びつけるJ・ベネットの議論を検討した。
【研究代表者】