健康の決定において所得の果たす役割:短期と中長期の因果効果
【研究キーワード】
社会経済状況 / 健康 / 労働供給 / 遺産相続 / オルタナティブデータ / 所得 / 因果効果 / SES
【研究成果の概要】
2年目の進捗は次のとおりである。分析1「所得受取が短期的な健康状態に与える影響」については、厚生労働省「人口動態調査」のデータ整備および総務省消防庁「救急搬送人員数データ」のデータ入手およびデータ整備を行った上で、所得受取が健康状態に与える短期的影響の分析を開始した。健康状態を表す指標として死亡に注目した。具体的には、公的年金の支給日における死亡の変化をとらえるために、死亡の月内サイクルの統計的分析を行った。分析は、総死亡および死因別死亡をアウトカムとして行い、また患者属性別や死亡場所別の分析を行った。分析2「所得受取が短期的な健康状態に与える影響の経路」については、当初の使用する予定であったデータから、より高頻度で記録され分析の幅を広げるデータとして、特定の民間企業が提供するオルタナティブデータの使用への変更を検討した上で、データ購入の準備と見本データの分析を進めた。分析3「所得が健康に与える中長期的影響」については、「遺産の受取」が健康に与える影響のメカニズムとして労働供給の変化に着目し、慶應義塾大学パネルデータ設計・解析センター「消費生活に関するパネル調査」を用いて分析を行った。遺産相続が労働供給に与える影響をより正確に識別するために、相続を予想していた回答者や相続前に流動性制約下にあった回答者、および家族内介護提供を行った回答者の存在を考慮した分析を行った。結果をまとめた上で学術論文として専門誌に投稿した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
濱秋 純哉 | 法政大学 | 経済学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)