オランダ植民地期末期のインドネシアにおけるイスラーム運動とマス・マンスール
【研究キーワード】
インドネシア / マンスール / 東南アジア / 連帯 / イスラーム / 東南アジア史
【研究成果の概要】
本研究は、オランダ植民地期末期のインドネシア(1942年まではオランダ領東インド)におけるイスラーム運動、特にムスリムによる大同団結運動に着目し、その活動や思想形成が独立後のインドネシア社会にいかなる影響を与えたのかを考察するものである。具体的には、以下2点の課題に取り組むことにより、本研究の実現を図る。すなわち、①オランダ植民地期末期に、インドネシア・ムスリムの団結運動を主導したマス・マンスールの活動経歴と思想的特徴の分析、②植民地期末期のイスラームとナショナリズムを接合させる活動の分析である。
2021年度は、前年度より続く世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により、国内外の図書館・文書館での資料調査を行うことができなかった。そのため、研究環境の整備と前者の検討課題(①)について、手元にあるマンスール自身が執筆した論考や演説記事から、彼の思想に関する分析を進めた。また、これまで注目されてこなかったムハマディヤ参加以前のマンスールの活動を時代順に整理し、それぞれの活動の目的、思想、中心メンバーを探った。これらの活動に関わっていた人物は、後の団結運動の主要人物と共通する点も多い。マンスールがいかにして団結運動を先導する人物になり得たかを検討する上で、前時代の活動で得た人的・地域的な結びつきは非常に大きな意味があったと考えられる。
現在は、これらの問題を扱った論文の執筆に取り組んでいる。今後実施予定の資料調査によって、不足する資料を補い、論文として完成させることが最優先の課題である。
【研究代表者】
【研究種目】研究活動スタート支援
【研究期間】2021-08-30 - 2023-03-31
【配分額】3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)