近代日本における視覚情報メディアの流通と文化変容
【研究分野】社会学(含社会福祉関係)
【研究キーワード】
情報 / 瓦版 / 新聞錦絵 / 小野秀雄 / 木版印刷 / メディア / ニュース / 新聞 / 錦絵新聞 / 画像データベース / 木版 / 民衆
【研究成果の概要】
本研究では、東京大学社会情報研究所が所蔵している小野秀雄コレクションに含まれる瓦版597種と新聞錦絵275種を中心的な素材としつつ、幕末維新期の視覚情報メディアの流通と受容、その諸様態について多角的な分析を行った。この瓦版・新聞錦絵資料は、社会情報研究所の前身である新聞研究所の創立者小野秀雄氏が収集されたもので、近代日本の情報メディア史研究にとってきわめて価値の高い貴重な資料である。しかし、この資料を多くの研究者が自由に使い、研究を発展させていくには、画像データベースの作成が不可欠である。本研究ではこのような認識に立ち、この分野の専門研究者による学際的な協力を得て、定期的な研究会のなかで考察を深めていっただけでなく、大学院生たちの多大な労力に助けられながら、これら瓦版、新聞錦絵すべてのテキスト部分を解読し、検索システムも完備して画像データベースを完成させた。このデータベースでは、利用者のアクセスの容易さを考えてファイルメーカーProの書式を用い、分類についてもこの分野でのより広い応用可能性を視野に入れた新たな分類項目を設定し、加えてキーワードや検閲印、版元印、彫師印、大きさ、錦絵新聞の場合は元の新聞記事との対応関係などの情報を詳細に盛り込んだ本格的なデータベースである。本研究では、このデータベースを社会情報研究所の創立50周年記念事業の一環としてCD-ROMの形態で刊行し、同時に社会情報研究所と東京大学総合研究博物館の共同主催の形で「ニュースの誕生―かわら版と新聞錦絵の情報世界」という展覧会を平成11年10月8日から12月12日まで総合博物館で開催し、9,000名を超える多数の一般市民に本研究の成果を伝えていった。こうした研究の成果は、すでに展覧会図録『ニュースの誕生』(東京大学出版会)として刊行されている。
【研究代表者】