消化管知覚過敏を軽減させるニューラルフィードバック練習装置の開発
【研究キーワード】
過敏性腸症候群 / バイオフィードバック / 脳波 / 脳腸相関 / リハビリテーション / ストレス / 安静時脳波 / ニューラルネットワーク
【研究成果の概要】
本研究は、過敏性腸症候群(IBS)に見られる脳腸相関の異常に着目し、安静時脳波を指標として脳波フィードバック練習装置を開発することを目的としている。成人のIBSには、腹痛に関連した脳活動パターンなど、特定の腹部症状が脳波上に示されることがある。デコードされたニューロフィードバック(DecNef)は、症状のある人が症状のない人と比較して脳の活動パターンを自己制御できるようにするバイオフィードバック練習の一つである。DecNefは、IBS患者の腹痛を自己制御するために使用できる。 IBSのDecNef練習を確立するには、症状のある人と健康な人の間でIBSの脳波(EEG)パターン(EEGシグネチャ)を区別できる分類器を開発する必要があった。また「分類器」の精度を評価する必要がある。2021年度は、IBSの症候性および無症候性の若年成人から得られたEEGデータを分析して、サポートベクターマシンベースのIBS分類器を開発し、その有用性を検証した。 EEGデータは、IBSのある28人とIBSのない24人より記録した。 EEGデータは高速フーリエ変換分析によって周波数分析し、IBS分類器はサポートベクターマシンを使用した教師あり学習によって作成した。今回は、作成した分類器によるIBS症状の診断精度は、脳全体と前頭、頭頂、および後頭領域で検証した。脳全体と前頭葉領域でIBS分類器の精度が90%を超えて推定できた。この研究の結果は、EEGデータを使用してIBS症状の有無を判断できることを示唆した。 IBS分類器を使用すると、EEGは、症状の有無に関するフィードバックを患者に提供するのに役立つ場合がある。この結果は、IBSの自己管理戦略を開発するための基礎となる。2022年度は引き続き今回作成した分類器を搭載したアプリケーションを作成する。
【研究代表者】