〈身体〉が結ぶ神学と医学のエネルギー概念史の再構成:ルネサンスから初期近代まで
【研究キーワード】
神的エネルギー / 医学的エネルギー / ミシェル・セルヴェ / 神学的発生論 / 三位一体論 / オリゲネス / ヴォルテール / 神学的エネルギー / 自然についての神学 / カルヴァン / 身体エネルギー概念 / キリストの身体論 / 聖餐論争 / エネルギー派 / 宗教改革 / 聖餐論 / キリスト / 身体性 / 身体論 / エネルギー / 自然神学 / 生気論
【研究成果の概要】
2020年度の研究では、当該研究課題であるルネサンス期の神学的エネルギーから医学的エネルギーの概念転位が、神学者でありかつ医学者であったミシェル・セルヴェの神学思想の中に端的に現れていることを発見した。セルヴェはカルヴァンにより火刑に処された異端思想家として歴史に名を残したが、その思想的内実は忘れられてきた。しかし、神学と医学の接近・接合過程に着眼したエネルギー概念形成史を考究する上で、非常に重要な思想家であることは間違いない。
この研究成果を受けて、2021年度の研究では、セルヴェの初期の著作から、同時代のカルヴァンによる「エネルギー」の語の用法と比較しながら、セルヴェ独自のエネルギー概念の含意を明らかにすることを目指し、一定の成果を出すことができた。すなわち、セルヴェによる「エネルギー」の語は、神から人間に働きかけられ授けられる力であるがゆえに、人間が神と分有する超自然的な力を意味し、そこから徐々に人間の生命原理となる自然的なエネルギー概念が形成されてゆく萌芽を見出せることを明らかにした。
一方、セルヴェの思想そのものの解明と同時に、後世への影響も研究の対象として取り組んだ。新しいエネルギー概念を包含したセルヴェのいわば汎神論的キリスト教神学は、17・18世紀の思想に少なからず影響を与えており、その一例はヴォルテールが自著のなかでセルヴェの思想に言及している一節に垣間見ることができる。ヴォルテールによるセルヴェ解釈の解明を通して、18世紀思想とセルヴェとの親和性について考察した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)