視覚と体性感覚の統合における身体の見た目の影響の解明とその活用
【研究キーワード】
バーチャルリアリティ / 多感覚統合 / アバタ / 身体所有感 / 行為主体感
【研究成果の概要】
本研究の目的は,バーチャルリアリティ(VR)環境で操るアバタの見た目を変化させる実験から,身体の見た目が視覚と体性感覚の統合に与える影響とその機序を明らかにすることである.その上で,VRや遠隔操作において実身体を代替するアバタの見た目を制御して多感覚統合を促進/抑制する手法を確立し,作業支援を図る.多感覚統合における視覚優位を利用した触力覚提示手法から遠隔医療における精密操作実現まで,視覚と体性感覚の統合におけるずれの問題を扱う領野は広い.ずれが意識に上らない閾値が調べられてきた一方,閾値を操作して多感覚統合を促進/抑制する手法は未踏である.そこでアバタの見た目が視覚と体性感覚の統合に与える影響の解明から応用まで狙う挑戦的研究として,アバタの見た目の変化による多感覚統合の閾値の変化とその機序の検証,多感覚統合を促進/抑制するアバタ設計法の確立に取り組む.
本年度は,身体のレンダリング手法(写実,アニメ調,白黒等)の影響について調査した.身体所有感の観点からは身体のレンダリング手法が写実的でリアルなほど自分の身体である感覚が高まって視覚的影響が強まることが想定されたが,実際にはそれほど大きな影響はみられなかった.また,身体と環境のレンダリング手法が一致している場合と,身体は写実で環境はアニメ調などレンダリング手法が一致していない場合に,そうした効果が異なるか(身体のレンダリング手法と環境のレンダリング手法の相互作用)についても検証したが,相互作用は見られず,身体の表示は環境と独立して検討して良いことを明らかにした.
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)