新しいコミュニティの構想-東部被災地をフィールドとして
【研究分野】社会学
【研究キーワード】
阪神淡路大震災 / コミュニティ / ボランティア / NPO / 地域団体 / 地域情報 / ネットワーク / 若者
【研究成果の概要】
本研究の目的は、阪神淡路大震災から10年後の被災地の現状を調査し、現代都市におけるコミュニティ、新たな可能性を問うことにあった。特にボランティアやNPOなど地域をこえた共助の連帯、あるいは日常のコミュニケーションや支援ネットワークに注目した。具体的に計画し実施した調査研究は次の3つである。
(1)ネットワーク分析を軸として、2006年に兵庫県民を対象とする大規模調査を実施した。その結果、地域の様々な活動に参加することによって、多くの人が自分への支援ネットワークを得ていることが明らかになった。そこでさらに地域参加に消極的な若年層に対象を絞った調査を2007年に行なった。その結果、女性は子育て等を通じて地域にネットワークをもつものの、若年男性は限られた友人以外では社会的に孤立していることがわかった。(2)神戸市を中心に、まちづくりや福祉に関するNPOや市民活動の調査を2006-2007年の2年間にわたって実施した。そこでは長い歴史をもつ神戸の市民団体が、NPO法や介護保険法等の制度環境の変化とともに、自らの経営感覚と組織的アイデンティティを磨き、新たなコミュニティを築いていくブロセスを明らかにすることができた。同時に団体をつなぐパーソナルネットワークも具体的に解明した。(3)学生を中心にコミュニティセンターを開設し、ボランティアや地域行事のサポートをしながら調査をおこない、インターネット上にその結果をフィードバックした。それによって若年層が地域活動に参加し、地域への理解を深め、さらに実践を通じて彼らにみずからのコミュニティを構想させる試みをおこなった。
【研究代表者】