脳損傷と加齢が潜在意味構造に与える影響の解明:自然言語処理に基づいたアプローチ
【研究キーワード】
意味 / LDA / 自然言語解析 / 失語症 / 言語流暢性 / 脳損傷 / 加齢 / 意味構造
【研究成果の概要】
本研究では,自然言語解析に基づいた意味ネットワーク解析手法を開発し,脳損傷(失語症状)および加齢が,ネットワーク構造に与える影響を解明することを目指す。具体的には,(1) LDAを用いて日本語における単語間の客観的な意味連想関係を抽出・数値化する。次に,(2) 個人の意味ネットワーク構造の特徴を定量化する方法論を確立する。最後に,(3) 脳損傷・加齢による意味構造変容を定量化するとともに,それらを計算論的にモデル化する。
本年度は,ノルウェー語版Wikipediaに含まれている動物単語を対象としたネットワーク解析に基づき,アルツハイマー病患者,高齢健常者および若年健常者の言語流暢性課題成績を解釈した。具体的には,言語流暢性課題のエラーがどのような意味ネットワーク間の連想関係に基づいて,どのようなタイミングで出現するかを定量的に明らかにした。本成果は,Frontiers in Aging Neuroscience誌に掲載された。
また,日本人脳損傷患者に対する言語流暢性課題の連続実施をおこない,その継時的変化を明らかにした。特に,連続実施という方式を取り入れたことによって,これまで検討されてこなかった2つの時間軸における意味構造変化を明らかにすることができた。本成果は,高次脳機能研究誌に掲載された。本論文は日本語意味ネットワーク解析に基づいた結果を含んでいない。今後,リハビリテーションによってどのように意味構造が変化していくかを中心にした解析をおこない,その成果を発表していく。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
吉原 将大 | 早稲田大学 | 文学学術院 | その他(招聘研究員) | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)