公益事業における規制改革と独占禁止法・競争政策
【研究分野】社会法学
【研究キーワード】
独占禁止法 / 公益事業 / 競争 / 競争政策 / 電力 / エネルギー / 電気通信 / 独立規制機関 / 民営化 / 電力事業 / ガス事業 / 行政委員会 / 行政組織
【研究成果の概要】
本研究は、法律学、経済学、行政学の研究者により、電力・ガス・電気通信などの公益事業分野における規制改革のあり方について、独占禁止法および競争政策の観点から検討したものである。
公益事業分野では、従来の自然独占を前提とした規制から、自由競争を組み込んだ競争促進型規制への転換が進行しており、これに対応して、(1)競争促進のための既存事業者の有する市場支配力の測定とその規制のありかた、(2)市場の監視機能を果たす規制機関の独立性の強化およびその競争当局との関係が重要な課題となっている。そこで、(1)については、市場支配力の計測と規制に関する、実証的・比較法的研究、(2)については、独立規制機関に関する国際比較を基礎にした実証研究を行った。
以上の研究から、まず(1)市場支配力については、特に「関連市場」の確定において、経済学のアプローチが有効性を発揮すること、他方、排除力の評価に関して、法学と経済学のアプローチに大きな差があることが明らかになった。次に、(2)の規制機関については、諸外国と比較すると、日本の規制当局の独立性の欠如が顕著であり、これは国際的にみても例外的であること、競争当局と規制当局との関係については、各国間の多様性が大きく、一律の規準は立てられないことが明らかになった。
今後は、以上の研究成果を踏まえて、市場支配力の測定と判断規準の具体化に関する研究、及び規制機関の独立性の強化に関する、国際比較を踏まえた制度改革に関する研究を積み重ねて行きたいと考えている。
【研究代表者】