取引記録ビッグデータを用いた企業活動の可視化
【研究キーワード】
取引記録分析 / 仕訳データ / 可視化 / 有向グラフ / 複式簿記 / ビッグデータ / グラフ理論 / ネットワーク分析 / 取引記録 / 仕訳 / 粉飾予測
【研究成果の概要】
本研究の目的は,企業の日々の取引記録である仕訳データを体系的に分析する方法を構築することである。これまでバランスシートや損益計算書などの財務諸表を用いた企業活動の分析(財務諸表分析)は行なわれてきたが,近年はクラウド会計の進展もあり,日々の取引データを用いた分析(取引記録分析)が注目されつつある。企業の会計データは複式簿記と呼ばれる数学(行列・グラフ理論)と親和性の高い形式で記録されている。したがって,行列を用いて会計データを表したうえで,その特徴を明らかにすることができれば,企業活動の新しい分析方法を提示することができる可能性がある。
(1)2021年度は2020年度に引続き,まず大阪府茨木市にある製造会社の協力を得て入手した,2年分の仕訳データの整理を行なった。実際の企業の仕訳データはそのままでは分析することができないため,当該企業の社長と経理部長に話を聞きながら,仕訳を一通り理解するとともに統計分析をするためのデータの整理を行なった。さらに,東京に本社のあるサービス業の企業からも仕訳データ2年分と財務諸表3年分を提供してもらうことができた。こちらの会社の仕訳データは現在,データの整理の途中である。
(2)財務諸表情報から仕訳金額を推定する方法についても検討した。仮想の仕訳データに基づく分析を行うとともに,実際の企業の財務諸表データから仕訳金額を推定した。この内容は,日本会計研究学会2021年度の統一論題で報告するとともに,雑誌『会計』に論文を掲載した。さらにケース教材を作成予定であったが,これは現在作成途中である。なお,密接に関連するケースとして,共同研究者が「freeeとマネーフォワード―クラウド会計ソフト会社比較―」を2021年6月に公表している。
(3)仕訳データの可視化と,時間軸に沿って分析する動的ネットワークに関する最近の研究については,先行研究のサーベイを行なった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
村上 裕太郎 | 慶應義塾大学 | 経営管理研究科(日吉) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2019-06-28 - 2023-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)