情報化投資効果の発現メカニズムの理論的解明と予測可能性に関する研究
【研究分野】経済政策(含経済事情)
【研究キーワード】
経済学 / 産業組織論 / 計量経済学 / 生産性 / 消費者行動 / 高度情報通信社会 / IT / 経済政策 / IT投資 / 労働生産性 / 産業政策
【研究成果の概要】
本研究計画は、わが国企業および産業のIT化を統計的に分析することを基礎として、(a)その特徴と効果の発現に関する促進・制約要因を明らかにし、(b)ITがわが国経済に与える影響を推定し、(c)既存のGeneral Purpose Technologyの普及プロセス等を参考に、その将来の予測が可能であるかどうかを理論的・実証的に分析し、(d)それらの目的に援用可能な大規模データベースを構築するとともに、(e)情報化を支援する適切な政策手段の議論に必要な基礎的知見を得ることを目指すものであった。
研究遂行にあたっては、内外の研究動向の把握、わが国企業のIT化に関する実証分析を行うとともに、得られた中間的成果については、適宜、内外の学会等の場で発表し、有識者との意見交換を行うことにより、成果水準の改善・向上を図った。
その結果、本研究計画においては、以下の3つの分野において有益な知見を生み出した。
1.個別企業のIT化の効果発揮に関する分析
(1)わが国大企業が行っているIT化は生産性に対してプラスの貢献を実現している。
(2)IT化とともに導入されることが多い補完的経営施策はわが国の場合、十分な成果を生んでいない。
(3)IT投資に対する潜在的意欲は他の一般投資財と有意な差がない。
2.IT化の消費者行動へのインパクト
(1)IT化は情報検索費用の低下を通じて、物理的移動手段交通を用いない購入手段を選択する可能性を増大させる。
(2)マレーシアにおける若年層のインターネットリテラシー改善のためには"parent factor"に着目する必要がある。
3.放送産業におけるIT化の影響
(1)放送産業においては規模の経済性が存在する一方、番組製作と伝送サービスに関する垂直統合のメリットは見出せない。
【研究代表者】