学校卒業後の若年層の就業・家族形成に関する追跡調査
【研究キーワード】
パネル調査 / COVID-19 / 若者 / 労働 / 格差 / オンライン / 郵送法 / バイアスの補正 / ジェンダー / 行動変容 / 学歴 / メンタルヘルス / ライフコース / 進路選択 / 教育から労働への移行 / 家族形成 / COVID19 / 回収率 / 質問紙調査 / サンプルサイズ / コーホート / 母子調査 / 母子関係 / 働き方 / 教育戦略
【研究成果の概要】
2021年度は、本研究事業2回目の追跡調査実施年にあたり、年度当初から複数回の研究会を開催し、調査設計を行ってきた。新型コロナの状況は(収束してはいないが)ある程度落ち着きも見せ始めてきたこともあり、コロナが及ぼす影響に関連すると思われる項目を多数盛り込むなどの工夫を行った。また対象がもともと回収率の低い若年層とあり、脱落の多さや低い回収率に悩まされてきたが、今年度はオンライン回答に限定するのではなく、紙媒体(古典的に、質問紙に自分で記入して郵便で返送してもらう方法)も併用した。その結果、最終的な回収数はほぼ昨年並みで886、そのうち郵送を選んだ者は35%に上り、決して少なくなかった。回収方法の違いによる回答の影響は別途精査する必要があるが、脱落や未回収の増加を食い止める方法として、複数の回収方法を併用することは有効かもしれない。
2021年度後半は、集められたデータを用いて、各メンバーの興味関心に基づいたデータ分析を行い、2022年3月22日には、公開でオンライン報告会(東京大学社会科学研究所二次分析研究会報告会)を行った。また英語での研究発表に備え、過去の調査の質問紙の翻訳も実施した。
本調査のデータは、やや高学歴層への偏りが問題とされており、それを補正して推定する分析方法の提案のほか、回顧法による回答の精度、因果関係の推定の改善に向けての方法が検討された。その他、高等教育専門の選択におけるジェンダー・ステレオタイプのもたらす影響が無視しえないこと、COVID-19の行動変容は女性の方に強く現れ、現れ方の影響が男女で異なること、テレワーク使用にはあまり性別や、女性の多い職場か否かは関係がないこと、貸与奨学金の利用に、家庭の経済状況のほか、きょうだい数や、主観的な成功見込みが影響を与えていること、などの知見が明らかにされた。
【研究代表者】