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筑波大学 研究Discovery Saga
2025年3月21日

遺伝子の精密な発現制御や改変ができるCre-loxP生物をワンステップで作出可能な技術を発明

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
工学総合生物農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
持続可能/持続可能な開発/モーター/組み換え/loxp/Cre/loxPシステム/Tax/プロモーター/機能解析/Cre-LoxP/ベクター/受精/受精卵/大腸/マウス/大腸菌/発現制御/ゲノム/遺伝子
生物・環境

概要

組み換え酵素(Cre)の遺伝子とCre酵素の作用対象となる特定のDNA配列(loxP)を一体化したベクターを開発しました。このベクターを使えば、特定の遺伝子の機能解析などに広く利用されているCre-loxP生物をワンステップで作出でき、作出時間や費用の大幅な削減が可能となると期待されます。
 特定の遺伝子の機能を調べたりする目的で、生命科学の分野で広く用いられているのがCre-loxPシステムを導入した生物(Cre-loxP生物)です。CreはDNA組換え酵素の一種で、34塩基対の短いDNA配列(loxP)に結合し、部位特異的な組換えを起こします。例えば、あるDNA配列を二つのloxPで挟むと、CreによりそのDNA配列を除去(ノックアウト)することができます。また、loxPの向きや配置を変えることによって、特定のDNA配列の向きをひっくり返したり、特定のDNA配列をゲノム中の他の場所に転移させたりすることもできます。
 Cre-loxP生物は一般に、ゲノム中にCre遺伝子を含むCre系統の個体と、ゲノム中にloxPを含むloxP系統の個体を別々に作り、交配することで作出します。そのため、作出には多大な時間と費用がかかっています。もしも、Cre遺伝子とloxPの両方を含むベクター(Cre-loxP一体型ベクター)を開発できれば、このベクターを受精卵のゲノムに導入するワンステップでCre-loxP生物を作出できます。交配が不要となるため、時間と費用の大幅な削減が可能となります。ところが、その実現は困難でした。ベクターの合成に用いる大腸菌の中で、ベクター内のCre遺伝子が自発的に発現し、同じベクター内のloxP領域に組換えが起こってしまうためです。
 本研究では、Cre遺伝子を発現させるプロモーター領域の直前に、TAx9と名付けた短いDNAを配置することで、大腸菌内でのCre発現を阻止し、Cre-loxP一体型ベクターを合成することに成功しました。また、イモリとマウスにこの技術が適用可能であることを実証しました。
 本研究チームは、イモリの再生研究を続ける中で、偶然にもCre-loxP一体型ベクターの作出に成功していました。TAx9技術はその仕組みを解明する過程で生まれました。生命科学の広範な研究に利用されるものと期待されます。筑波大学は本技術について、特許を出願中です。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学生命環境系
千葉 親文 教授
Casco Robles, Martin Miguel 助教

掲載論文

【題名】
One-step Cre-loxP organism creation by TAx9.
(Tax9によるワンステップCre-loxP生物作出)
【掲載誌】
Communications Biology
【DOI】
10.1038/s42003-025-07759-9

関連リンク

生命環境系