[Top page] [日刊 研究最前線 知尋] [Discovery Saga総合案内] [大学別アーカイブス] [Discovery Saga会員のご案内] [産学連携のご案内] [会社概要] [お問い合わせ]

京都大学 研究Discovery Saga
2025年3月10日

効果の異質性を解釈するフレームワーク

―機械学習を用いた解釈可能性のための実践的枠組みを提唱―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学複合領域数物系科学総合生物医歯薬学
【Sagaキーワード】
学習アルゴリズム/情報量/アルゴリズム/フレームワーク/機械学習/科学コミュニケーション/因果関係/決定木/異質性/コミュニケーション/疫学/疫学研究

この研究の主な対象者

企業・研究者の方 公開日

概要

井上浩輔 白眉センター/医学研究科准教授と古村俊昌 米国ハーバード大学(HarvardUniversity)博士課程学生らの研究グループは、機械学習を用いた効果の異質性分析における、科学コミュニケーションのための実践的枠組みを提案しました。
 因果関係を探る機械学習アルゴリズムを用いた効果の異質性分析が近年注目を集めています。しかし、これらの手法から得られるデータドリブンな知見は、人間が解釈し意思決定を行う上でのニーズと齟齬が生まれる可能性があることから、応用には注意が必要です。今回の研究では機械学習が提示するデータドリブンな知見と現実的な意思決定と統合する実践的なフレームワークが提案されました。
 提案された枠組みは、機械学習を用いた効果の異質性の推定、解釈のためのサブグループ検出のために異なるデータを入力し、人間の意思決定のプロセスに近い決定木を用いて効果の異質性が特に大きい集団を特定します。また、一連の解析における解釈性を批判するための指標も提案しています。これらを組み合わせることで、機械学習が示しているパターンと現実的な意思決定で必要とされているパターンを批判的に吟味することができ、より解釈性・答責性が高い解析が可能となります。これは、効果の異質性を調査する疫学研究において、効果的な機械学習の活用と科学的コミュニケーションの両方を確保するための一般的な戦略となり得る可能性があります。
 本研究成果は、2025年3月4日に、国際学術誌「European Journal of Epidemiology」にオンライン掲載されました。
提案されたフレームワーク「Pragmatic Subgroup Discovery」の概念図
研究者のコメント 「本研究は古村(筆頭著者)が様々な統計手法を学ぶ上で、機械学習による効果の異質性を検出する手法が実践的な目線での意思決定のパターンと必ずしも統合されていないことに着目した所から始まりました。データサイエンスの人気の高まりやインフラの発展により様々な高度な統計手法が提案されていますが、それをどのように人間の意思決定と統合するかの議論は見落とされていることがあります。多くの情報から複雑なパターンを検出できることが機械学習の強みですが、人間の意思決定は必ずしも複雑な情報に基づいて行われていません。それらに求められている情報量の違い、つまり機会学習が示すパターンと人間が必要とする情報量の違いを批判的に吟味することは、より良いデータサイエンスの実践に繋がると考えています。」

詳しい研究内容について

効果の異質性を解釈するフレームワーク―機械学習を用いた解釈可能性のための実践的枠組みを提唱―

研究者情報

研究者名 井上 浩輔


京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1007/s10654-025-01215-y

【書誌情報】
Toshiaki Komura, Falco J. Bargagli-Stoffi, Koichiro Shiba & Kosuke Inoue (2025). Two-step pragmatic subgroup discovery for heterogeneous treatment effects analyses: perspectives toward enhanced interpretability.European Journal of Epidemiology.
 

関連部局

白眉センター 医学部・医学研究科