培養表皮シートを用いた表皮水疱症の遺伝子治療システム開発のための基礎研究
【研究分野】皮膚科学
【研究キーワード】
表皮水疱症 / 遺伝子治療 / 培養表皮 / ラミニン5 / VII型コラーゲン / 出生前診断 / 基底膜 / 表皮 / Vil型コラーゲン / 培養表皮シート / 遺伝子導入 / 劣性栄養障害型 / Herlitz致死型 / laminin5 / SV40
【研究成果の概要】
本研究の目的は、表皮水疱症という疾患を対象にして、遺伝子治療の対象臓器として多くの利点を持つ培養表皮シートを媒体とした,新しい遺伝子治療システムを実用化させるための基礎研究を行うことであった。
今回の研究では、劣性栄養障害型においては患者皮膚におけるVII型コラーゲンの発現、Herlitz致死型においてはlaminin5の発現をそれぞれ免疫組織学的,生化学的に蛋白レベルで検討した。つづいて、各症例における遺伝子変異部位をPCR,Heteroduplex,direct sequencing法などを用いて同定した。さらにこれらのデーターに基づき、出生前診断を行うなど、実際の臨床応用にも貢献した。これらの結果は、業績に示すような論文誌上に於いて報告した。
遺伝子レベルで父方,母方の両方のallellesにpremature termination mutationを有し、蛋白レベル、mRNAレベルで遺伝子発現が全く認められないような重症表皮水疱症症例を選択し、一部の患者の皮膚を培養表皮細胞実験に用いた。
すなわち、Herlitz致死接合部型表皮水疱症患者から得られた小皮膚片より、表皮細胞を培養し、SV40によりtransformさせ、不死化細胞株を樹立した。続いて、LAMB3遺伝子のfull lengthを作製、ベクターへ組込み、SV40不死化細胞株に遺伝子導入を行った。遺伝子導入効率をチェックしたところ、LAMB3遺伝子がHerlitz致死接合部型表皮水疱症の培養表皮細胞株に組み込まれて、ラミニン5のβ鎖が発現していることが確認された。
本研究により得られたこれらの基礎データーは、培養表皮細胞を用いた遺伝子治療モデルの開発に今後大きな助けとなるものと考えられた。
【研究代表者】